2017 Fiscal Year Research-status Report
小胞輸送を司るRab11はコレステロールの非小胞性輸送に関与するか
Project/Area Number |
16K15171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 彰宏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40251441)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RELCH / Rab11 / リサイクリングエンドソーム / TGN / 極性輸送 / OSBP |
Outline of Annual Research Achievements |
個々の細胞は細胞膜に包まれており、細胞膜の脂質の主な構成成分の1つにコレステロールがある。コレステロールは、細胞の中に取り込まれた後、細胞内の膜の構成成分や様々な生理活性物質の生成に利用される重要な脂質だが、コレステロールが低密度リポタンパク(LDL)として細胞に取り込まれた後、どのような経路で運ばれ利用されるかについては未解明な点が多数あった。 近年、我々は小胞輸送を司ると考えられてきたタンパク質Rab11の新規結合タンパク質RELCHを同定し、Rab11とRELCHが脂質輸送タンパク質OSBPを介して小胞輸送に依存しない、細胞小器官間の直接接触によってコレステロールを運ぶこと(コレステロールの非小胞性輸送)を発見した。また、その経路は従来知られていたコレステロールの輸送経路とは別の、新規の経路であり、その輸送経路に今回のタンパク質複合体が機能することを明らかにし、細胞生物学の国際的な一流誌であるJournal of Cell Biology誌に掲載することができた。 本研究では (1)Rab11が非小胞性のコレステロール輸送に働くこと(2)REがリソソームからゴルジ体へのコレステロール輸送の中継役として働くこと(3)REからTGNという非小胞性輸送経路が存在することを新たに明らかにした。 本研究成果によって、コレステロールの新たな輸送経路ならびにそのメカニズムを明らかにしたことは、今後の生命科学研究ならびにコレステロールが関与する疾患の研究に貢献すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は小胞輸送を司ると考えられてきたタンパク質Rab11の新規結合タンパク質RELCHを同定し、それが介する新規の輸送経路を明らかにし、細胞生物学分野の一流誌であるJournal of Cell Biologyに掲載することができた。コレステロールの新たな輸送経路ならびにその分子機構の解明によって、コレステロールの細胞内動態の全容解明の一端が明らかとなったため、これからの生命科学の発展に重要な役割を果たすと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
RELCHを欠損するマウスでは、肝臓や繊維芽細胞においてリソソームの増加やその中のコレステロールの増加がみられるため、RELCH欠損マウスでの肝臓での脂質代謝を調べる。具体的には、正常食や高カロリー高脂肪食後のマウスの血清中の各脂質や肝機能のマーカーの測定、肝臓の蛋白、mRNAの測定等を検討している。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用額が予想より少なかったため。
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Research Products
(4 results)