2017 Fiscal Year Research-status Report
発光性イリジウム錯体を用いた生体内アミノ酸DL変換のその場追跡
Project/Area Number |
16K15175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
佐藤 二美 東邦大学, 医学部, 教授 (60205961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 久子 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (20500359)
山岸 晧彦 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (70001865)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | D-アミノ酸 / 光学分割法 / 光キラルセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遊離アミノ酸およびペプチド鎖中のアミノ酸の残基の絶対配置を光化学的に識別するプローブを開発することを目指した。具体的には、発光性金属錯体としてシクロメタレート型イリジウム錯体(Ⅲ)を取り上げ、その錯体にアミノ酸の絶対配置を識別する部位を付与することを試みた。すなわち、これまで生体で使用されるプローブは特定の抗体に結合する発光性有機分子あるいは金属錯体が用いられ、認識(抗体)と発光(有機分子または金属錯体)とはそれぞれ別の部位で行われているのに対し、キラルイリジウム(Ⅲ)錯体は発光部位そのものが認識機能を持つため、アミノ酸の絶対配置の識別が可能である。 本年度は、キラルなアミノを付与したポリピリジル配位子の錯体などの各種イリジウム錯体の合成・光学分割を行った。さらに、この錯体を用いて、アミノ酸誘導体の光キラルセンシングやエナンチオ選択性にも成功した。さらに、アミノ酸の配位したイリジウム錯体の合成を行い、得られた錯体の光学分割手法を確立した。配位したアミノ酸がL体かD体かの違いにより錯体の発光特性がどのように異なるかを検討中である。またこれと並行して、アミノ酸のDL分析法を検討した。その結果、ダンシル化各種アミノ酸のクロマト分析法を確立することができた。 次に生体で未だD-アミノ酸の存在が報告されていない神経細胞に対して、D体を含むタンパク質の探索を行うために、まず、第一段階として、確立したクロマト分析法により、白子、ホタテ中のグルタミン酸について解析し、DL識別に関して良好な結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミノ酸のDL分析法の確立に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノ酸のDL分析法の確立に時間がかかったが、ダンシル化各種アミノ酸のクロマト分析法を確立することができた。この分析法により、白子、ホタテ中のグルタミン酸の分析を行い、良い結果を得ることができた。この分析法の精度をさらに高め、今後これらの結果を基に、ラットの脳中のD-グルタミン酸の探索を行う予定である。最終的には、生体組織、神経細胞中のD-アミノ酸の探索を行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度は、アミノ酸の配位したイリジウム錯体の合成を行い、アミノ酸のDL分析法の開発を試み、ダンシル化各種アミノ酸のクロマト分析法を確立した。このDL分析法の確立に時間がかかったため、生体アミノ酸分析への発展が遅延し、残金が生じた。しかしながら、新たに開発した分析法で、白子、ホタテ中のグルタミン酸の分析を検討し良好な結果を得た。そこで本年度は、さらに分析法を確実なものとし、ラットの脳中のD-グルタミン酸の探索を行う予定である。分析に用いるカラム(10万)、薬品・機器類の購入(50万)、実験動物としてラットを購入し(5万)、脳での分析を行う。さらに結果の論文投稿のための費用(5万)、共同研究との打合せ旅費、学会参加旅費(30万)の使用を予定している。
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