2016 Fiscal Year Research-status Report
TREK-1チャネルをターゲットとした新薬開発のための分子機構解明
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16K15179
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
老木 成稔 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (10185176)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 脂質平面膜 / カリウムチャネル / イオン透過 |
Outline of Annual Research Achievements |
TREKチャネルの研究を行うために、KcsAカリウムチャネルを使って実験系の準備・確立を行った。膜組成を単に変えるだけでなく、非対称組成の膜の形成も自由におこなえるようになった。リン脂質の中には相転移温度が高いものがある。そのため高温で実験するためのシステムを確立した。さらにチャネルの電流測定時に急速に膜組成を変えることによってチャネルの応答をリアルタイムで捉えることができた。特に、脂溶性分子は膜に溶けこませることが難しく、この方法で初めて実験が可能になった。さまざまな疎水性物質を作用させ、チャネル機能活性の変化を捉えた。たとえばステロールによるチャネル活性の速やかな変化を測定することができた。また膜の張力を測定できる方法を現在開発中である。さらに膜組成によってチャネルが膜上でどのように分布するかを原子間力顕微鏡により明らかにした。脂質組成によっては膜が相分離するものがあり、その場合、チャネルがどちらの相に存在するか検討した。以上のように膜組成の変化、物理的変化による膜の動態とチャネルの機能を実験する様々な実験的設定を可能にすることができた。Two-poreチャネルの遺伝子をチェックし直し、現在TREKを大腸菌で発現させる試みをしている。 これと平行してチャネルのイオン透過機構について分子動力学シミュレーションによって、新しい透過機構を解明することができた。特に従来ほとんど注目されなかった中心空洞におけるイオンの振る舞いが重要であることを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主テーマであるチャネルの膜環境における機能変化については膜組成を様々に変える方法を確立し、電気生理学的実験手法をより高精度で測定できるようにした。さらに膜組成によってチャネルの膜上の分布が劇的に変わることを発見した。これらの結果と手法をもとに次に進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
Two-poreチャネルの遺伝子をチェックし直し、大腸菌で発現しやすいものを試行錯誤で試して生きたい。現在TREKを大腸菌で発現させる試みをしている。さらにこれが脂質平面膜上で機能するかということを今後検討していく必要がある。
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Causes of Carryover |
前年度の実験で試行錯誤を必要とするとみなして消耗品への使途を予定していたが、実験法の工夫や順調な経過によって大幅に削減することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の方法が確立したことによって、ルーチンの実験を多数する必要があり、実験補佐員の雇用を継続することが可能となった。さらに遺伝子発現などの消耗品は継続的にに不可欠である。
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Research Products
(3 results)