2017 Fiscal Year Research-status Report
蜘蛛毒と虫駆除薬を利用したプリン作動性シグナルの理解
Project/Area Number |
16K15180
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 祐一郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20532980)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | イオンチャネル / ATP受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP受容体のP2Xは、痛みの受容と伝達、血管の拡張、炎症反応など様々な生理機能に関係している。これら生理機能はP2Xから流入する陽イオンによる膜の興奮やCa2+による細胞内応答により発揮される。興味深いことにP2Xでは、本来硬い分子構造基盤の上に成り立つとされるイオン透過に特徴があり、時間経過とともに透過するイオンのサイズが変化するという「ポアの柔軟性」を呈する。しかしながらその生理機能や分子メカニズムは解明されていない。本研究では、申請者が見いだした蜘蛛毒及び、虫駆除薬を利用してP2X4受容体の「ポアの柔軟性」を固定し、各ポアサイズに対応した分子細胞機能を明らかにすることを目的としておこなう。構造生物学的解析や分子間相互作用解析を行い、大きなサイズのポアの構造、および毒の結合の構造基盤を明らかにする目的で行う。 本年度は、前年度に得られた知見をもとに、P2X受容体各サブファミリーに対する虫駆除薬の賦活効果をATP投与後の時間経過と共に解析した。種々のチャージキャリアを用いて解析を行った。蜘蛛毒と虫駆除薬が受容体に採用する構造基盤を明らかにするために、前年度行ったドッキングシミュレーションにて、得られた結合分子構造を検討した。結合分子構造の妥当性をP2X受容体の結合領域に変異を導入した変異体チャネルを用いて、電気生理学的に薬剤の効果を解析した。また、ATP結合に依存せず紫外線により開く受容体を作成し、そのP2X受容体チャネルを用いて、ATP結合、蜘蛛毒結合、虫駆除薬結合の独立性・非独立性を電気生理学的手法を用いて解析・検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各サブファミリーに研究を広げ順調に進展している。光を使った新しいチャネルの賦活法を開発し、本研究に導入し、より深い視点から薬剤の効果を検討している。よって、おおむね順調に進展してる。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養細胞に発現させたP2X受容体で得られた知見が、初代培養に発現しているP2X受容体に適合するか確認する。血管内皮の収縮とP2X受容体チャネルを透過するCa2+の関係を、変異体、蜘蛛毒、虫駆除薬を用いて検討する。シミュレーションで得られた各種P2X受容体の薬剤との結合構造の妥当性を検討する。
|
Causes of Carryover |
(理由) 当初計画では、P2X4受容体の阻害剤・賦活剤を用いた分子機能・細胞機能解析を行いプリン作動性シグナルを理解する研究を完了する予定であった。期間中に、P2X3や他の生物種のP2Xの結晶構造が報告された。補助事業の目的をより精密に達成するために、構造基盤に基づいたP2X4に対する再現実験とそのホモログも対象とした実験を加え理解を深める必要が生じた。追加(再現)実験の実施と研究成果の報告のため期間延長を行う。 (使用計画) 試薬購入に550,000円、学会参加費に50,000円、実験補助員の雇用費用に700,000円、その他印刷料金など51,369円
|
Research Products
(4 results)