2017 Fiscal Year Research-status Report
Organelle homeostasis in microgravity environment
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16K15195
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
榊 建二郎 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (70509968)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オルガネラ / 微小重力 / ストレス応答 / タンパク質品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内小器官(オルガネラ)の機能は、タンパク質フォールディングの監査や異常構造タンパク質の分解を執り行う「タンパク質品質管理」、更には異常タンパク質の蓄積に応答して遺伝子発現を制御する「オルガネラストレス応答」が適切に働くことによって、その恒常性を維持している。このような恒常性維持機構は「オルガネラ品質管理」と呼ばれ、その破綻が多岐にわたる疾患と直結することから、近年脚光を浴びている。
現在、国際宇宙ステーションにおいては継続的な宇宙実験が可能となり、宇宙空間を活用した技術革新を目指し、多くの研究が行われている。一方で、長期宇宙滞在における宇宙飛行士の健康管理が重要な課題となっている。近年、微小重力によって細胞骨格の形状が大きく変化し、細胞の機能や形態に影響を及ぼすことが報告された。これは細胞骨格を基盤に細胞全体に張り巡らされている小胞体やミトコンドリアには無視できない異変であり、同じく細胞骨格に支えられている核との通信を含めて、オルガネラ品質管理にただならぬ影響が予測される。しかしこれに関する研究は現在まで行われていない。本研究課題では代表者がオルガネラ品質管理における研究経験を活かし、この問題に取り組んでいる。
2017年4月に研究代表者が東京女子医科大学看護学部へ異動し、これに伴う実験環境の立ち上げを主に行った。線虫C.elegansを用いた微小重力実験並びに、遺伝子発現解析や蛍光顕微鏡観察が行える環境を整備した。また昨年度までに微小重力により発現に変化が見られる候補として挙がっていた応答遺伝子群について、新たな環境での再現性を確認して絞り込んだ。オルガネラ形態への影響についても、観察するための具体的な実験条件の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者の異動に伴い、実験環境のセットアップに時間を要した。年度終盤から実験データが取れるようになったが、予定より遅れる結果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
微小重力による発現応答が観察された遺伝子について、既知のオルガネラストレス応答経路の制御遺伝子を対象に欠損変異株を用いた解析を行い、その依存性を検討することで応答経路の特定を試みる。またオルガネラ形態への影響についても、早急に解析条件を確定し、微小重力による影響の検討を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度未使用額と合わせて、微小重力実験装置(3Dクリノスタット PMS-VI)を購入するなど、環境整備に使用し、2万円強の残額が出たが、ほぼ予定通りに使用している。次年度は微小重力培養に必須な培養容器などの消耗品に大半を使用する予定である。
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