2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of magnetic antibiotics
Project/Area Number |
16K15205
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
石川 義弘 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40305470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70252591)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬理学 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
重工業界の金属材料評価技術を医薬品化合物へ応用した結果、磁性を持つ医薬品化合物が同定されたが、強い毒性を持つ。その後の医化学連携により、毒性を減弱させ磁性だけを持つ化合物が合成された。この磁性化合物を、既存の薬物に側鎖修飾結合させれば、その薬剤を磁性化できる。有機骨格を有するために生体適合性にも優れ、生体投与後に磁場によるドラッグデリバリーやMRIによる可視化が可能になる。本申請では、我々はこの磁性を持つ化合物を詳細に検討し、既存の医薬品、とくに抗生物質の磁性化を検討した。磁性抗生剤は、臨床応用においては磁場誘導により高い局所濃度を達成し、安全で効率的な感染症治療が可能になると考えられる。また磁場によって局所への誘導を図ることにより、肝臓や腎臓など正常臓器への影響を抑えることができる。磁性抗生剤は、肝腎機能の低下した高齢者や臓器障害者にも安全に使える薬剤として有用とおもわれる。抗生物質の誘導体作成は長年にわたって行われており、中でもアンピシリンは、グラム陰性菌に対する効果を高めるためにペニシリンGにアミノ基を付加した誘導体である。さらにこの誘導体から、バカンピシリンやスルタミシリンなどが、二次誘導体として開発されており、抗生物質としての活性を多様化させる側鎖修飾を行うことが実証されている。そこで我々は同様の部位に磁性化合物による修飾を施した。合成された磁性アンピシリンはこれまでの検討では磁性を持ち、強度は高くないが磁石にくっつく性質を有していることが分かった。これらの結果から、アンピシリンが磁性化された可能性を示すことが分かった。そこで今後の検討において、アンピシリンの力価の検討だけでなく、磁場による抗菌作用の誘導作用を含めて検討することが必要と考えられた。この研究成果は、今後は他の抗生剤にも応用可能であるかの検討を含めて進めていく。
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