2017 Fiscal Year Annual Research Report
How do cells prepare exocytosis of secretory granules?
Project/Area Number |
16K15211
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212952)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞医科学 / インスリン / 膜輸送と輸送タンパク質 / 生体膜 / 内分泌学 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵β細胞で合成されたインスリンは、分泌顆粒に貯蔵される。分泌顆粒は、細胞膜付近のアクチン網へまず運ばれ、細胞膜と融合することによって、インスリンを血中に放出する。これまでの研究により、当研究室が発見したExophilinファミリーと呼ばれるRab27エフェクター・タンパク質群は、ホルモンや神経伝達物質などの分泌を制御する役割があることが示されていた。本研究では、そのうちの1つExophilin-8を欠損するマウスを作製し、その膵β細胞で、細胞膜周辺部のアクチン網領域に集まっているはずのインスリン顆粒が失われ、その結果、インスリン分泌が減少し、血糖値が高くなることを発見した。また、Exophilin-8は、これまで示唆されていたMyosin-5aや-7aとの直接結合ではなく、RIM-BP2という分子を介するMyosin-7aとの間接的な結合によって、分泌顆粒を皮質アクチン網に集積させることを見出した。RIM-BP2との結合活性を失わせたExophilin-8変異体は、インスリン顆粒をアクチン網領域内に留め、その開口放出を促進させる作用を失うことから、本複合体の形成は、インスリンの効率的な分泌に必要であることがわかった(以上、Fan et al., Elife 2017に報告)。本研究成果は、糖尿病の成因・病態に深く関わるインスリン分泌の分子メカニズムの一端を明らかにしたもので、Exophilin-8複合体は、今後の糖尿病治療研究における分子標的となる可能性がある。また、発見された分子機構は、インスリンのみならず、さまざまなホルモンの分泌にも当てはまると考えられ、多細胞生物における細胞間の機能調節の基盤となる機構を明らかにしたものと思われる。
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