2017 Fiscal Year Annual Research Report
Direct conversion of human fibroblasts to brown adipocytes by small chemical compounds
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16K15222
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
戴 平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20291924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 行正 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40735552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / ダイレクトリプログラミング / 再生医療 / 細胞移植治療 / 低分子化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、低分子化合物を用いてヒト線維芽細胞から褐色脂肪細胞へダイレクトリプログラミング(直接誘導)を行うことである。初年度の研究では、詳細な条件検討の結果、最も効率が良く褐色脂肪細胞へダイレクトリプログラミングする低分子化合物の組み合わせ、および培養プロトコールを決定することに成功した。これにより生じた低分子化合物誘導性褐色脂肪細胞(ciBA: chemical compound-induced brown adipocyte)は、褐色脂肪細胞に特異的な遺伝子の発現、および特徴の一つである多量のミトコンドリアの局在が観察されている。次年度では、当初の計画に基づきciBAの機能的な解析を行った。ciBAでは、ミトコンドリアによる酸素消費量が増加しており、またProton Leakに相当する酸素消費量も増加していることから、これがミトコンドリアの内膜に局在するUCP1によるものであることが示唆された。次にciBAが、ノルアドレナリン刺激に応答しUcp1などの熱産生遺伝子の発現が誘導されるか調べるため、アドレナリン受容体作動薬Isoproterenolを投与しUcp1の発現量を調べた。その結果、低濃度でも投与して3時間でUcp1の発現活性化が見られたことから、ciBAには生体内の褐色脂肪細胞と同様な熱産生経路が備わっていることが示唆された。また、各低分子化合物が制御するシグナル伝達経路の下流に位置する転写因子および標的遺伝子に注目し、線維芽細胞から褐色脂肪細胞への直接誘導メカニズムについて考察を行った。本研究のような、遺伝子の導入の必要ないダイレクトリプログラミングは、安全性がより高いことが想定され、今後ヒトへの臨床応用を考える上で大きなメリットとなる。また、褐色脂肪細胞が体内で作られる仕組みの解明や、創薬研究、オーダーメイド医療などに利用されることなどが期待される。
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Research Products
(6 results)