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2016 Fiscal Year Research-status Report

Model mouse for human specific xeno-autoantigen inflammation

Research Project

Project/Area Number 16K15235
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

竹松 弘  京都大学, 医学研究科, 准教授 (80324680)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsシアル酸 / 免疫応答 / 炎症 / マウスモデル / 病態 / 化合物
Outline of Annual Research Achievements

マウスは非常に便利なモデル実験動物として幅広く使用されているが、病態モデル動物として考えると、必ずしもヒトの病態進行を模倣しておらず、ヒト病態を模倣できるモデル動物の開発はヒト医学研究でのボトルネックとなっている。
本研究の研究目的は、マウスにおいてヒトに特徴的な、さらに言うと、ヒトにしか起こりえない特殊な自己免疫状態である、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)に対する異種自己抗原応答状態を簡便に引き起こし、ヒトの動物実験モデルとして樹立することである。哺乳動物での主要なシアル酸分子種はC5位のアミノ基の修飾により、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)とNeu5Gcがあげられる。このため、研究計画として、ヒトと同様のNeu5Gc生合成酵素Cmah遺伝子欠損を起こしたマウスを用い、このCmah欠損マウス血管内皮細胞にヒトにとって異種シアル酸分子種であるNeu5Gcを発現させることが含まれる。また、Neu5Gcに対する免疫応答をマウス個体で惹起することで、これに対する抗体を作成し、マウスに投与することを考えているが、抗Neu5Gcを誘導する条件について検討することから始めた。
シアル酸発現に関しては、ある特定の化合物を処理することで、目的の分子種のシアル酸を動脈血管特異的に発現誘導できることが明らかとなった。また、抗シアル酸分子種抗体の樹立に関しては、マウスにとっての異種細胞にNeu5Gcを強制発現させた細胞を免疫源に用いることで、目的のエピトープを持つと考えられる抗体産生を誘導できることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上述のようにマウスを含む哺乳動物での主要なシアル酸分子種はC5位のアミノ基の修飾により、Neu5AcとNeu5Gcがある。ヒトでは種特異的に上述のCmah遺伝子欠損しており、生合成経路上での前駆体となるNeu5Acしか持たないが、一方で、Neu5Gcを含む動物肉などを摂取しており異種抗原を自己抗原として発現する。ヒト免疫系はNeu5Gcを非自己の異種抗原として捉えるため、これに対する抗体応答を引き起こす。このコンビネーションで、ヒトでは、Neu5Gcに対して、異種自己抗原免疫応答が起こり、これによる慢性炎症が様々な疾患を改悪する。しかしながら、マウスを動物モデルとして使用すると、Neu5Gcは自己抗原であり、当然、これに対する応答も引き起こしていないため、ヒト医学に役に立つ動物モデル系とはいえない。
本研究では、マウスにおいてヒトに特徴的な異種自己抗原応答状態を簡便に引き起こし、ヒトの病態動物モデルとして樹立することである。このためには、Neu5Gcを発現しないマウスに対して、人為的にNeu5Gcを発現させると言う点と、Neu5Gcに対して免疫応答を惹起すると言う2点をクリアしていかないといけない。
これまでの研究の進捗により、Cmah欠損マウスに対して、化合物処理することで、血管内皮細胞に対してNeu5Gc発現を誘導出来ることを明らかにした。一方、シアル酸トランスポーターを介して、Neu5Gcを直接入れる方法に関しては、モデル細胞として、トランスポーター遺伝子を改変してヒト細胞に導入することで、シアル酸トランスポーターを形質膜に発現する細胞の樹立に成功した。
また、抗Neu5Gc抗体応答についても、マウスにとって異種となる細胞株にCmah発現によりNeu5Gcを誘導した細胞を免疫源として免疫することで、比較的良好な抗Neu5Gc抗体産生を誘導できた。

Strategy for Future Research Activity

上述のように、本研究ではマウスモデルを用いてヒトに特徴的な異種自己抗原応答状態を引き起こしたい。時間軸で考えると、ヒトでは、長い年月を経て、この状態に達することが考えられるが、一方でマウスの寿命は短く、また、実験モデルとしても、この状態を速やかに作り上げられないと、有効なモデルとしての意味をなさない。そこで、ヒトで特徴的な上記2点の状態を速やかにつくり出すことが重要となる。そこで、今後は、上記の化合物処理の条件を最適化する必要があるため、どのような週齢のマウスにどの程度の量の化合物処理を行うのがいいかなど、条件検討を進めていく。
また、免疫応答状態を引き起こすためには、動物を免疫することが妥当ではあるが、この応答には個体差が生じやすい。そこで、これまで分かった免疫の条件を利用して、Cmah欠損マウスから抗Neu5Gc単クローン抗体を作成し、できた単クローン抗体をマウスに導入することで、炎症状態を引き起こすことで、再現性の良い慢性炎症状態を作ることが出来ると考える。このため、単クローン抗体樹立を急ぐ。単クローン抗体作成に用いるミエローマ細胞については、通常非常に高いNeu5Gc発現が見られるため、Neu5Gc不全ミエローマ細胞を作成し、これと免疫動物のB細胞とを細胞融合させることで、反応性のよい単クローン抗体が作成出来ると考えており、これに取りかかる。
さらに、自己免疫状態が引き起こすことが出来れば、これまで知られる疾患も出ると組み合わせて、マウスではなかなかヒトと近い病態引き起こせないもでるで、ヒト様の病態が引き起こされるかどうかの検証を行う。
Neu5Gc発現におけるトランスポーター利用の系は、バックアッププランであるが、変異型形質膜局在トランスポーターのNeu5Gc取り込み活性を検証すると共に、血管新生時のシアル酸輸送能との関連も調べる。

Causes of Carryover

マウス飼育費用を多めに考えていたが、大学の施設が当初予想より使用でき、次年度での試薬購入などの費用に回した方が、費用対効果が優れると予想されたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

物品費として使用する。
具体的には研究試薬・消耗品購入に使用する。

  • Research Products

    (12 results)

All 2017 2016 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 4 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results,  Invited: 3 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Louisiana State University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Louisiana State University
  • [Journal Article] USP40 gene knockdown disrupts glomerular permeability in zebrafish2017

    • Author(s)
      Takagi H, Nishibori Y, Katayama K, Katada T, Takahashi S, Kiuchi Z, Takahashi SI, Kamei H, Kawakami H, Akimoto Y, Kudo A, Asanuma K, Takematsu H, Yan K.
    • Journal Title

      Am J Physiol Renal Physiol.

      Volume: 312(4) Pages: F702-715

    • DOI

      doi: 10.1152/ajprenal.00197.2016.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Physiological Exploration of the Long-term Evolutionary Selection Against Expression of N-glycolylneuraminic Acid in the Brain2017

    • Author(s)
      Naito-Matsui Y, Davies LR, Takematsu H, Chou HH, Tangvoranuntakul P, Carlin AF, Verhagen A, Heyser CJ, Yoo SW, Choudhury B, Paton JC, Paton AW, Varki NM, Schnaar RL, Varki A
    • Journal Title

      J Biol Chem.

      Volume: 292(7) Pages: 2557-2570

    • DOI

      doi: 10.1074/jbc.M116.768531.

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Psychosine-triggered endomitosis is modulated by membrane sphingolipids through regulation of phosphoinositide 4,5 bisphosphate production at the cleavage furrow2016

    • Author(s)
      Watanabe H, Okahara K, Naito-Matsui Y, Abe M, Go S, Inokuchi J, Okazaki T, Kobayashi T, Kozutsumi Y, Oka S, Takematsu H.
    • Journal Title

      Mol Biol Cell.

      Volume: 27(13) Pages: 2037-50

    • DOI

      doi: 10.1091/mbc.E15-08-0555.

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] The signaling pathways underlying starvation-induced upregulation of α-mannosidase Ams1 in Saccharomyces cerevisiae2016

    • Author(s)
      Umekawa M, Ujihara M, Makishima K, Yamamoto S, Takematsu H, Wakayama M.
    • Journal Title

      Biochim Biophys Acta.

      Volume: 1860(6) Pages: 1192-1201

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bbagen.2016.02.018.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 胚中心B細胞による糖鎖変化の意義2017

    • Author(s)
      竹松弘
    • Organizer
      糖鎖免疫Glyco-Immunology2017
    • Place of Presentation
      東京医科歯科大学・東京
    • Year and Date
      2017-01-25
    • Invited
  • [Presentation] Identification of Modifier Gene That Modulate Cell Surface P-selectin Ligand Expression2016

    • Author(s)
      Kano Y, Fujinawa R, Kitagawa H, Okuno Y, Kannagi R, Oka S and ○Takematsu H
    • Organizer
      2016 International Carbohydrate Symposium
    • Place of Presentation
      Marriott Hotel, New Orleans, USA
    • Year and Date
      2016-07-18
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] リゾスフィンゴ糖脂質サイコシンによるエンドマイトーシスとPIP2ドメインの抑制2016

    • Author(s)
      ○渡邉寛,小林俊秀,岡昌吾,竹松弘
    • Organizer
      第89回日本生化学大会
    • Place of Presentation
      東北大学・仙台市
    • Year and Date
      2016-06-26
  • [Presentation] リゾスフィンゴ糖脂質サイコシンは、分裂溝におけるPIP2の産生を抑制することでエンドマイトーシスを誘導する2016

    • Author(s)
      ○渡邉寛,小林俊秀,岡昌吾,竹松弘
    • Organizer
      生化学会近畿支部会
    • Place of Presentation
      神戸薬科大学・神戸市
    • Year and Date
      2016-05-15
  • [Presentation] Psychosine-triggered endomitosis to produce multiploid cells2016

    • Author(s)
      Takematsu H
    • Organizer
      2016 Korea-Japan Bioactive Lipid Joint Symposium
    • Place of Presentation
      Bereve Hotel, Jeju, Korea
    • Year and Date
      2016-05-12
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Dynamic regulation of Siglec-ligands on activated lymphocytes2016

    • Author(s)
      Takematsu H
    • Organizer
      Glycoscience Japan-The Netherlands Joint Seminar
    • Place of Presentation
      Leiden University Medical Center, Leiden, the Netherlands
    • Year and Date
      2016-04-20
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Remarks] 竹松研究室

    • URL

      http://oka-lab.hs.med.kyoto-u.ac.jp/concept3.html

URL: 

Published: 2019-12-27   Modified: 2022-06-09  

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