2016 Fiscal Year Research-status Report
多能性維持因子Nanogは癌幹細胞の免疫回避能を制御できるか?
Project/Area Number |
16K15236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 安史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / Nanog / Nk細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌幹細胞を豊富に含む細胞集団を分離するため、ヒト乳癌細胞MDA-MB231細胞においてCD44+CD24-の細胞集団を抗CD44抗体、抗CD24抗体を用いた磁気ビーズによるMACSによって幹細胞集団を分画した。またmulti-well plateを用いた限界希釈法で癌細胞1個からスフェア形成をさせる方法によりcancer initiating cell (CIC)を得ることができるので、ヒト去勢抵抗性前立腺癌細胞のPC3, DU145細胞のCICを分離した。これら癌幹細胞集団におけるNanogの発現をRT-PCR, Western blotで定量したところ、非癌幹細胞集団に比較して、Nanogの抗発言が認められた。癌細胞が免疫細胞によって認識される分子や免疫細胞の機能に影響を与える分子について、分離した癌幹細胞集団と、コントロール集団との間で発現レベルを比較したところ、ICAM-1の発現が有意に低下していることが明らかになった。ICAM-1はNK細胞によって認識されNK細胞感受性にかかわっているので、マウス脾臓より分離したNK細胞をカルセインを取り込ませた癌幹細胞集団にかけてカルセインの放出により細胞死を判定したところ、癌幹細胞集団は非幹細胞集団に比較して細胞死が抑制されていた。Nanog shRNAを導入するとNK細胞感受性が回復した。一方DU-145細胞にGFP-Nanogを強発現させたところ、NK細胞感受性が低下した。以上のことから、癌幹細胞分画ではNanogの発現によりICAM-1の発現が低下し、これによりNK細胞による癌細胞死誘導が抑制されていることが明らかになり、癌幹細胞の抗腫瘍免疫抵抗性の機構の一端が解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に研究が進んだ。29年度に予定していた研究の中でNanog shRNA導入癌細胞の作成及びNanog 強発現癌細胞株の分離に成功し、それらを用いた免疫回避機構の解明にまで進むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
NanogによりICAM-1の発現が抑制され、NK細胞感受性が低下することが明らかになったが、その分子機構を解明する必要がある。NanogのICAM-1 promoter部位への結合サイトを明らかにするためにChIP-seqを行う。さらになぜNanog結合がICAM-1発現抑制にかかわるのかを明らかにするため、ヒストンの修飾やヒストン脱アセチル化酵素のNanog結合サイトへのリクルートの状況を明らかにする。また前立腺癌の臨床サンプルを用いて、NanogとICAM-1の発現の逆相関があるかどうかを明らかにし、それが癌の悪性度と関連するかどうかを検証する。
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[Journal Article] Regulation of alternative polyadenylation by Nkx2-5 and Xrn2 during heart development.2016
Author(s)
Nimura K, Yamamoto M, Takeichi M, Saga K, Takaoka K, Kawamura N, Nitta, H, Nagano H, Ishino S, Tanaka T, Schwarz RJ, Aburatani H, Kaneda Y.
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Journal Title
eLife
Volume: 5
Pages: 1, 20
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research