2016 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of stealth antigens for developing tumor immunotherapy
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16K15244
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小林 博也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90280867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 朱 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40561030)
大栗 敬幸 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70564061)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫監視機構 / グリオーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
生後48時間未満のBALB/c-ヌードマウス胎児脳室内にがん遺伝子及びp53抑制配列を組み込んだsleeping beautyトランスポゾンプラスミドとトランスポゼース発現プラスミドを注入することによって、4週齢前後のマウス脳内にグリオーマの増殖を確認することができた。グリオーマの増殖による異常行動が認められたマウスを安楽死させ、得られたグリオーマ組織からグリオーマ細胞株を樹立した。このBALB/c-ヌードマウス由来グリオーマ細胞株をT細胞によるイムノエディティングを受けていないナイーブグリオーマがん細胞株(naiive Glioma cell lines; nG株)とした。nG cell linesのin vitroにおける増殖能を検討するために同様にして樹立された野生型BALB/cマウス由来グリオーマ細胞株(wtG cell lines)と比較したが、大きな差は認められなかった。また、nG cell linesのMHC class I及びMHC class IIの発現についても解析した結果、それぞれの発現が認められそれらの発現強度はwtG cell linesと大きな差は認められなかった。nG cell linesの免疫原性を調べるために6-8週齢の野生型BALB/cマウスの脳室内に移植したが生着を確認できなかった。このことから、T細胞からの免疫監視機構を経ることなく増殖してきたnG cell linesは免疫原性が高いことが示唆された。また、ヒトステルス癌抗原を用いた前臨床研究を前倒しに開始し、複数のヒトステルス癌抗原T細胞認識エピトープ及び、ステルス癌抗原ペプチド特異的T細胞クローンが樹立されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
T細胞の免疫監視機構を経ないで増殖してきたnG cell linesは、当初、増殖する速度が遅いながらも野生型BALB/cマウスに生着すると予想していた。しかし、実際には野生型マウスには全く生着せず、nG cell linesは完全に排除されることがわかり、nG cell linesの免疫原性が予想よりも高いことが明らかになった。このため、当初の予定を変更し、以下の2段階のステップを踏んで野生型マウスに生着するかどうかを検討することにした。1)nG cell linesをBALB/c-ヌードマウスに移植し生体内で増殖しやすい細胞株を選択する。2)野生型マウスにCD8もしくはCD4に対する抗体を投与して各T細胞を除去し、T細胞による監視機構を取り除いた状態でnG cell linesを移植する。以上の2段階を用いて条件付き野生型マウスで生着し、親株のnG cell linesよりも免疫原性が低くなっていると予想される条件付きイムのエディティングを受けたnG cell lines(conditionally immunoedited Glioma cell lines; ciG cell lines)を野生型マウスに移植し、その生着率を確認する。マウスを用いた本研究の仮説の検証研究に当初の見込みよりも時間がかかることが想定されたことから、当初の実施計画の順序を入れ替えて、ヒトステルス癌抗原を用いた前臨床研究を開始し、すでに複数のステルス癌抗原ペプチド特異的T細胞クローンの樹立に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立されたciG cell linesを野生型マウスに移植し、生着したグリオーマ組織から新たな細胞株(immunoedited Glioma cell lines; iG cell lines)を樹立する。nG cell lines、ciG cell lines及びiG cell linesのそれぞれの遺伝子発現をDNAアレイによって網羅的に解析し、nG cell linesからciG cell linesを経てiG cell linesへと変遷していく過程において、どのような遺伝子発現変化が起きたのかを明らかにし、iG cell linesにおいて遺伝子発現抑制された分子を探索しリストを作成する。また、この遺伝子発現抑制機構にDNAのメチル化が関与しているかを明らかにするために、iG cell linesをDNAメチル基転移酵素阻害剤(5aza)で処理し、DNAの脱メチル化によって発現変化を起こす遺伝子群を特定する。特定された遺伝子群が、nG cell linesに発現されているか確認し、「nG cell linesで発現されている遺伝子」かつ「脱メチル化されることによってiG cell linesで発現されるようになった遺伝子」を特定し、がん細胞がT細胞からの免疫監視機構を逃れるために消失させた高抗原性分子「ステルス癌抗原」を同定する。マウスステルス癌抗原を標的とした癌免疫治療の抗腫瘍効果を検討するために、iG cell linesを接種した野生型マウスに5azaとともにステルス癌抗原タンパク質もしくはペプチドを投与し、腫瘍増殖抑制効果を明らかにする。また、既に樹立されたヒトステルス癌抗原の有用性を検討するために、HLA型が適合するヒト癌細胞株を接種した免疫不全マウスにステルス癌特異的T細胞を5azaと共に投与し、その抗腫瘍効果を明らかにする。
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Research Products
(1 results)