2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of stealth antigens for developing tumor immunotherapy
Project/Area Number |
16K15244
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小林 博也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90280867)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 朱 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40561030)
大栗 敬幸 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70564061)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 免疫逃避機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、癌細胞が分裂・増殖していく過程で免疫原性の高い抗原を戦略的に消失させるという理論を土台にして、その消失させた抗原こそが癌にとって不都合な、我々にとって好都合な標的抗原になるのではないかという仮説を検討し明らかにするものである。癌細胞が抗原を消失させる過程の一つに、プロモーター領域のメチル基修飾による遺伝子発現の抑制が知られている。そこで、マウス癌細胞株においてほとんど発現が認められなかった遺伝子が、メチル基転移酵素阻害剤によって発現される遺伝子を同定した。その分子はヒトと相同性が高く、同じアミノ酸配列を有する領域からワクチンペプチドを設計した結果、マウス及びヒトからペプチド特異的T細胞応答を誘導することが確認できた。その遺伝子はヒト癌細胞株においてもメチル基転移酵素阻害剤によって発現が認められたことから、ペプチドで活性化・増殖させたペプチド特異的T細胞の生体における抗腫瘍効果を検討するために、免疫不全マウスにヒト癌細胞株を移植しメチル基転移酵素阻害剤とペプチド特異的T細胞を同時投与することによって、腫瘍増殖を抑制することを明らかにした。以上のことから、本研究課題である癌の免疫逃避機構の過程で消失する癌抗原(ステルス癌抗原)を標的とした癌免疫治療法は、有効であることが示唆された。メチル基転移酵素阻害剤によって発現されるようになるステルス癌抗原遺伝子を複数同定しており、それらを標的としたがん抗原ペプチドについて特許申請中である。これらのペプチド配列を製剤化することによって、今までとは異なる概念(現在の腫瘍組織ではほとんど発現されていない抗原を標的抗原とする概念)に基づく革新的ながん免疫治療法の開発が進展するものと思われる。
|
Research Products
(1 results)