2017 Fiscal Year Research-status Report
マイクロMRIを応用したアミロイド血管症と微小病変のex vivoイメージング
Project/Area Number |
16K15246
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
冨本 秀和 三重大学, 医学系研究科, 教授 (80324648)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロMRI / 脳アミロイド血管症 / 剖検脳 / アミロイドβ / 毛細血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳アミロイド血管症(Cerebral amyloid angiopathy; CAA)は毛細血管のAβ沈着(capillary Aβ)を伴うCAA-type 1と伴わないCAA-type 2とに分類される。Aβの存在によって補体カスケードが活性化されるが、capillary CAAにおける活性化は不明である。本研究ではCAA-type 1、type 2、及び対照群の脳血管壁におけるマクロファージスカベンジャー受容体(MSR)、補体、Aβの発現を定量的評価と蛍光三重染色を用いて検討し、capllary CAAにおける補体発現の意義を明らかにすることを目的とした。方法:28年度にマイクロMRIを応用して画像所見と神経病理所見を比較しえたCAA剖検脳22例、他の神経変性疾患を有する対照群12例、計34例の剖検脳を評価した。Aβ40、Aβ42、補体(C1q、C3d、C5b-9、C6)、macrophage scavenger receptor(MSR)の血管壁への発現を免疫組織化学法で調べた。また、補体(C1q、C3d)、Aβに対して蛍光二重染色を行った。結果:CAA type-1群12例、type-2群10例、対照群12例の3群に分類された。皮質微小梗塞、老人斑、神経原線維変化は、対照群に比べCAA各群で有意に多かった。老人斑、神経原線維変化などのアルツハイマー病理はtype-1群でtype-2群より有意に多かった。免疫組織化学法では、C1q、C3d、MSRの毛細血管への発現はほぼCAA-type 1群に限って認められた。組織障害性のC5b-9とC6は皮質下出血または脳表ヘモジデローシスを伴う症例で発現する傾向があった。蛍光三重染色では補体(C1q、C3d)とApoEとAβの共発現がCAA群の毛細血管で認められた。結論:毛細血管においては、補体・MSRなどの炎症メディエーターはAβ存在下に限って発現していた。Aβクリアランス障害に補体の活性化が関与している可能性がある。また、C5b-9、C6の発現はCAAにおける出血性脳障害に関与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究内容について、当初予定であるcap CAAにおいて補体が活性化していること、活性化ミクログリアが血管周囲に浸潤していることを発見し、定量評価して統計解析を行った。すなわち、毛細血管にアミロイドβが沈着している場合に限り、これらの炎症関連分子が毛細血管に発現することを明らかにし、毛細血管とその周辺に生じる炎症病態がアミロイドβの脳外クリアランスを傷害している可能性を指摘した。これらの結果はDementia Geriatr Cogn Disord誌に投稿し、2017年度にアクセプトとなっている(Matsuo K et al. Dementia Geriatr Cogn Disord 2018)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はマイクロMRIを応用したex vivoイメージングで認められたCAAの画像診断マーカー、coritcal superficial siderosis (cSS)について検討する。現在までcSSの病理変化について記載した報告はなく、画像と病理の対応関係を検討して発症に至る分子機構を解明する。CAA22例のマイクロMRIの検討では、3例にcSSが観察されている。このため、cSSの認められた剖検ブロックの大脳皮質をパラフィン切片とし、補体、MSR、apo Eの分布を検討する。cSSの原因となるCAAでは血管破綻の原因となる膜侵襲複合体(C5b-9)の発現率が高いなど、分子機構に特徴的変化がある可能性がある。cSSのほかにも、CAAを特徴づける画像所見として皮質微小梗塞(CMI)、微小出血、血管周囲腔の拡大などがある。今後、これらの画像異常部位で特徴的なCAAの分子発現を順次明らかにしていく予定である。 また、最近の研究では、cSSに対応する部位の大脳皮質ではリン酸化タウ、αシヌクレインの凝集したグリア細胞が観察されており、この点についても検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画は当初の計画以上に順調に進んだが、一部、剖検脳のEx vivo MRI撮影においては、施設の共通機器の不具合で使用できなかった期間があり、撮影にやや遅れが生じたことから、それにかかる費用は繰り越しとした。また蛍光色素などの消耗品においては長期保存ができないため直前に購入することとした。 使用計画:Ex vivo MRI撮影にかかる費用や、蛍光色素などの抗体や薬品などを購入予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Comparative analysis of cortical microinfarcts and microbleeds using 3.0-tesla postmortem magnetic resonance images and histopathology.2017
Author(s)
1.Niwa A, Ii Y, Shindo A, Matsuo K, Ishikawa H, Taniguchi A, Takase S, Maeda M, Sakuma H, Akatsu Y, Hashizume Y, Tomimoto H.
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Journal Title
Alzheimers Dis.
Volume: 59
Pages: 951
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Complement activation in capillary cerebral amyloid angiopathy.2017
Author(s)
Matsuo K, Shindo A, Niwa A, Tabei K, Akatsu H, Hashizume Y, Akiyama H, Ayaki T, Maki T, Sawamoto N, Takahashi R, Oikawa S, Tomimoto H.
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Journal Title
Dement Geriatr Cogn Disord.
Volume: 44
Pages: 343
DOI
Peer Reviewed
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