2016 Fiscal Year Annual Research Report
Fetal microchimerism and cancer
Project/Area Number |
16K15261
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
清川 悦子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80300929)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胎盤 / 蛍光蛋白質 / 妊娠 |
Outline of Annual Research Achievements |
キメラリズムとは一つの個体に異なる遺伝情報(=染色体)から成る細胞が存在することであり、マイクロキメリズムとは混入している細胞の数が少ないものを指す。骨髄や臓器の移植は人工的なマイクロキメリズムであるが、妊娠・出産によって、胎児の細胞が母親に移入することも知られており、胎児マイクロキメリズムと呼ばれる。頻度は高いが、混入細胞の種類や、混入時期、経路は不明であり、本研究ではその解明を目指した。 蛍光蛋白質発現マウスのオスと野生型のメスを交配し、妊娠・出産後のメスの各臓器から、FACS、免疫染色、臓器透明化による2光子励起顕微鏡観察を行い、混入細胞を調べたところ、妊娠期では肝臓・子宮に蛍光蛋白質を発現する細胞を認めたが、出産後には検出することが出来なかった。肝臓における細胞は形態からクッパー細胞(あるいはマクロファージ)であることが推察された。2光子励起顕微鏡による観察では、肝臓や肺臓では透明化液の浸透時間によって自家蛍光が強くなる細胞があることがわかり、また観察する組織の固定法によって蛍光の不均一性が出ることがわかり、適切な陰性コントロールを置き、注意深く観察する必要があることがわかった。 消化管および肺には蛍光蛋白質を発する細胞が認められなかったため、当初の計画であった化学発癌実験は行わなかった。肝臓における混入細胞は上皮成分ではないが、炎症や線維化を誘導する四塩化炭素投与によって組織損傷部に集積するなどの動態の変化が期待できると考えている。
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