2016 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス感染センサーによる内在性RNA認識を介した自然免疫制御
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16K15279
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米山 光俊 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40260335)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫学 / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウイルス感染センサーであるRIG-I-like receptor(RLR)が、宿主の内在性RNAを認識し得るか否かを解析することで、新しい抗ウイルス自然免疫制御機構の可能性を提示することを目的としている。 平成28年度の解析では、RLRのひとつであるRIG-Iの基質となり得るRNA構造(5'三リン酸RNA)を持つ内在性RNAに注目し、それらがRIG-Iによって認識され抗ウイルス自然免疫シグナルを活性化し得るかどうかについて検討を行った。その結果、発現プラスミドを用いて細胞内に強制的に過剰発現させた場合に、抗ウイルスサイトカインであるI型インターフェロン遺伝子(IFN)の誘導へ至るシグナルの活性化が検出されたことから、少なくともこれらの内在性RNAが基質として働き得ることが示唆された。さらに、このシグナル活性化がRIG-Iを介していることを確認するために、エピトープタグを付加したRIG-Iを細胞に強制発現させ、免疫沈降により精製したRIG-Iに会合しているRNAをRT-PCRによって検出したところ、RIG-IのRNA結合能に依存した内在性RNAの会合が検出されたことから、実際に細胞内でRIG-Iとこの内在性RNAが会合していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに検出していたRIG-Iの基質となり得る構造を持つ内在性RNAが、実際にRIG-Iと会合して抗ウイルス自然免疫シグナルを伝達し得ることを示す結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の結果は、人工的な強制発現の実験条件下での結果であることから、次に問題になるのは、この会合が生理的な状況で起きているのかどうか、またそれによってどのような細胞機能制御がなされているのかどうかであり、平成29年度には、より生理的な条件下での解析を進めて行く。一方で、観察した現象は、ある特殊な細胞や特殊な環境下で起こり得るものであることが考えられることから、様々な細胞種における応答を検討することでその生理的な意義に迫る計画である。
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