2016 Fiscal Year Research-status Report
Stem Cell Memory T細胞の創出と応用
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16K15292
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90182815)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メモリーT細胞 / 獲得免疫 / 腫瘍免疫 / Notchシグナル / 細胞老化 / リプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫記憶は獲得免疫機構の根幹をなす機能である。その中心的役割を担うメモリーT細胞にはエフェクターメモリーT細胞 (TEM)、セントラルメモリーT細胞 (TCM)、レジデントメモリーT細胞などの集団が存在することがよく知られている。近年ヒトおよび霊長類において、新規メモリーT細胞集団であるステムセルメモリーT細胞 (TSCM) が発見された。TSCMはナイーブT細胞マーカーを有するメモリーT細胞集団である。またTSCMは幹細胞性や長期生存能を有し、免疫記憶の根幹を担う重要なメモリーT細胞集団であると考えられている。しかしながらTSCMがどのようなメカニズムで誘導されるかはあまり明らかになっていなかった。我々はまずin vitro によりTSCM様細胞(iTSCM)を誘導する方法を確立した。CD4+およびCD8+活性化T細胞を抗原非存在下でNotchリガンドを発現するフィーダー細胞と共培養を行った。共培養の結果、一部の活性化T細胞はナイーブT細胞マーカーを示す細胞(iTSCM)へと分化した (図2)。私はこのiTSCMが抗原刺激により迅速に大量のエフェクター細胞を生み出すことができ、また生体内において長期生存能や自己複製能を示した。今年度はまずiTSCMの抗腫瘍効果を検討した。CD4+およびCD8+ iTSCM を担癌マウスに移入したところ、ナイーブT細胞やエフェクターT細胞、TCMに比べて有意に腫瘍の増大を抑制した。さらにCD4+およびCD8+ iTSCMを組み合わせて担癌マウスに移入した結果、より強い抗腫瘍効果を得られ、半数のマウスを寛解に導いた。またヒトT細胞からもiTSCMを作製することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果は Nature Communications誌に公表することができた。またヒトT細胞においてもNotchシグナルがiTSCMを誘導するか検討した。ヒト活性化T細胞を、Notchリガンドを発現するフィーダー細胞と共培養を行った結果、マウスと同様にiTSCMが誘導された。さらに健常人から採取した末梢メモリーT細胞はNotchリガンドを発現する細胞と共培養することで抗腫瘍効果を有する抗原特異的iTSCMへ転換することが観察された。これらの結果からNotchシグナルは活性化ヒトT細胞をより高い抗腫瘍活性を有するステムセルメモリーT細胞へリプログラムすることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
実際にヒト腫瘍内のT細胞からiTSCM細胞を作製し、対象となるがんを死滅させることができるか、が次の課題となる。すでにヒト化マウスを用いた実験ではヒトiTSCM細胞に強い抗腫瘍効果があることを確認している。また本方法はiPS細胞からT細胞を作製する方法にも適応することが可能である。さらに本研究は老化疲弊した細胞をある程度若返らせることに成功したとも言える。『細胞が若返る』という現象のメカニズムを明らかにできれば、体内で免疫システムを若返えらせることが可能になるかもしれない。さらにT細胞だけではなく神経細胞や生殖細胞など他種類の細胞も若返らせる方法の発見につながる可能性がある。
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[Journal Article] Notch-mediated conversion of activated T cells into stem cell memory-like T cells for adoptive immunotherapy2017
Author(s)
Taisuke Kondo, Rimpei Morita, Yuumi Okuzono, Hiroko Nakatsukasa, Takashi Sekiya, Shunsuke Chikuma, Takashi Shichita, Mitsuhiro Kanamori, Masato Kubo, Keiko Koga, Takahiro Miyazaki, Yoshiaki Kassai, Yoshimura Akihiko
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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