2017 Fiscal Year Research-status Report
Stem Cell Memory T細胞の創出と応用
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16K15292
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90182815)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 記憶T細胞 / 免疫学 / 抗腫瘍免疫 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステムセルメモリーT細胞 (stem cell memory T cell: TSCM)は、ナイーブT細胞マーカーを有するメモリーT細胞で、自己複製能・長期生存能・幹細胞性を有し、抗原刺激によってセントラルメモリーT細胞 (TCM)、エフェクターメモリーT細胞(TEM)に分化する能力を持つ。研究代表者らは試験管内で活性化したマウスおよびヒトのT細胞を、Notchシグナル分子を発現しているフィーダー細胞(OP9-DL1)と共培養することでTSCM様細胞(induced TSCM:iTSCM)へと誘導する方法を確立した (Nature Commun. 8: 2017, e15338)。iTSCMのマイクロアレイ解析を行い、既存のデータベースを参照したところ、iTSCMではATR, Aurora Kb, E2F, p73, FOXM1, Plk1シグナルが亢進していた。これらのシグナル経路のうち既報の論文を参照して、最も上流に存在し、かつ発現量の高いFOXM1に着目して研究をすすめる。iTSCM誘導時にFOXM1阻害剤であるThiostrepton処理を行うことでiTSCMの誘導効率を調べる。さらにレンチウイルスベクターによりFOXM1遺伝子を導入し、iTSCM誘導に及ぼす影響を調べる。同時にFOXM1を活性化する薬剤のスクリーニングを行う。またiTSCMは他のT細胞サブセットに比べて、ミトコンドリアに依存した酸化的リン酸化能が非常に高いことが認められた。今後、メタボローム解析によりiTSCMのエネルギー源を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ITSCMの誘導方法を確立した。さらにITSCMにおいてミトコンドリアを中心とした酸化的リン酸化経路が亢進しておりその中心となる候補遺伝子も同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
iTSCM誘導の分子機構を明らかにし、iTSCMをフィーダー・フリーで効率よく誘導・作製する方法を確立する。さらにがん細胞に特異的なChimeric Antigen Receptorを発現させたT細胞(CAR-T)をiTSCM化することによって、CAR-iTSCMによるがん治療効果の強化を試みる。リプログラムのメカニズムを明らかにし細胞の脱分化や「若返り」の基本原理を明らかにする。さらに一旦エフェクターに分化したT細胞は再度分化誘導を行っても通常は制御生T細胞(Treg)にはならないことが知られている。同様のリプログラミング方法を改良してエフェクターをTregに転換する方法を開発する。
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Causes of Carryover |
ヒトStem Cell Memory T細胞を作成する方法は確立できたが、この細胞の抗腫瘍効果を検証するために超免疫不全マウスにヒト腫瘍細胞とStem Cell Memory T細胞を移植する実験が必要である。本実験に必要な超免疫不全マウスの繁殖に予想以上の時間がかかり、あと3~4ヶ月を待たないと十分な数を揃えることができないため。
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[Journal Article] Notch-mediated conversion of activated T cells into stem cell memory-like T cells for adoptive immunotherapy.2017
Author(s)
Kondo T, Morita R, Okuzono Y, Nakatsukasa H, Sekiya T, Chikuma S, Shichita T, Kanamori M, Kubo M, Koga K, Miyazaki T, Kassai Y, Yoshimura A
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 15338
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Improvement of Foxp3 stability through CNS2 demethylation by TET enzyme induction and activation2017
Author(s)
Someya K, Nakatsukasa H, Ito M, Kondo T, Tateda KI, Akanuma T, Koya I, Sanosaka T, Kohyama J, Tsukada YI, Takamura-Enya T, Yoshimura A
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Journal Title
Int Immunol.
Volume: 29
Pages: 3188-3198
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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