2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evidence-Based Practices in School Health: Focus on Prevention and Care in the School Nurse's Office
Project/Area Number |
16K15300
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30342687)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 応急手当 / 感染予防 / 子ども / 保護者 / 学校 / 手洗い / 養護教諭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学的根拠に基づいた応急処置の実践(Evidence based Practice)が学校で普及されるために、①学校における応急処置の実践内容、②その実践の教育的影響、③科学的根拠に基づいた実践が普及されるための様々な要因を多角的に検討した。 養護教諭、保護者、大学生に質問紙調査を行った結果、養護教諭は根拠に基づく処置の実施率は擦り傷で低く、頭部打撲が約7割、捻挫、鼻出血で約9割であり、根拠が不確かな処置も少なからず実施されていた。また、これらの処置は、自ら体験した家庭や保健室で受けた処置などの誰もが経験する場から習得した方法が有意に影響していることであることが明らかとなった。保護者が行う応急処置は、子供の頃に学校で受けた処置や家庭での処置方法を模倣しており、たとえ保健室で行われた処置が正しい方法であっても、その方法が家庭では引き継がれない場合があることが明らかになった。大学生が行う応急処置は、保護者同様、子どものころから受けたり見たりしてきた家庭や学校での方法を模倣しており、たとえ推奨されない処置であってもその方法が子どもたちに伝達されることが明らかになった。学校で行われる応急処置方法は、その処置を受けたり見たりする子どものみならず、さらにその子どもたちへと世代を超えて引き継がれていくことが明らかになった。そのため、学校での処置が科学的根拠に基づいた方法になるよう,教員養成における応急処置教育の検討,および教員の現任教育および健康情報リテラシーの獲得が重要であることが示唆された。 また、本研究では科学的根拠に基づく処置が実施できるための条件として学校内や保健室の衛生材料などの物品類に注目し、その正しい使用法についても検討した。本研究の成果は、論文や養護教諭向けの冊子、講義や講演等で広く発信し、養護教諭の正しい処置方法の習得のために活用している。
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