2017 Fiscal Year Research-status Report
外国人患者・医療者・通訳者間におけるリスク・コミュニケーションに関する実証研究
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16K15307
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 文子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 講師 (30315858) [Withdrawn]
石川 真 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (50601134)
大野 直子 順天堂大学, 国際教養学部, 講師 (90730367)
西川 浩昭 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (30208160)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域医療学 / 医療通訳 / リスクコミュニケーション / 外国人医療 / 異文化コミュニケーション / 通訳の正確性 / 医療安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、平成28年度に収集したデータを整理し、分析を行なった。分析対象は63件であった。患者の属性は、女性が65.1%、20歳未満と30歳代がそれぞれ31.7%、、在日期間は平均7.9±6.9年、日本語会話能力は「相手が話している内容は大体わかるが、自分のいいたいことを伝えることはできない」が42.9%、「相手が何を話しているのかがほとんどわからない」が25.4%であった。受診診療科は産婦人科が33.3%、小児科が30.2%、整形外科が19.0%で、診療時間は中央値11分26秒であった。対象の医師は30名で臨床経験の中央値は11年、医療通訳者は3名で医療通訳経験の中央値は11年であった。 まず、患者の診療満足度と医師の説明に対する理解度に関する分析結果は次のとおりであった。医師の説明が「よくわかった」は88.9%、疑問や意見を医師に「十分に伝えられた」は74.2%、「疑問や意見は特になかった」は22.6%であった。患者の満足度では「非常に満足している」が6項目すべてで90%以上、患者と医師または通訳者間の一致率は0.9以上であった。この病院を継続して「必ず利用する」が98.4%、友人に「必ず勧める」が93.7%であった。友人にこの病院を勧める理由は、通訳者、医師の対応に関する内容が多く、「通訳者がいることで、医師に言いたいことを伝えることができて安心」「医師が良い治療をみつけようとしてくれる」「外国人を差別しない」などであった。これらの結果を対象医療機関にフィードバックし、関連の学術集会で報告した。 次に、通訳の正確性に関する分析では、録音データの逐語録作成、ポルトガル語の日本語翻訳、バックトランスレーション、データ確認を行い、分析データセットを作成し、分析を進めている。通訳の正確性を測定するツールの定義を繰り返し検討し、複数評価者による評価の妥当性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度の計画では、平成28年度に実施した病院の医療通訳者が介在した診療における調査(パターン①)のデータ分析の結果を対象医療機関に報告し、患者が連れてきたアドホック通訳者が介在した診療における調査(パターン②)を実施する予定であった。しかし、通訳の正確性と通訳の質に関するデータ分析ならびに複数評価者間評価における妥当性を検討する時間が予想以上に必要であった。また、通訳者の勤務体制等の変更により対象医療機関との調査日程の調整が難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画は、平成28年度に実施した病院の医療通訳者が介在した診療における調査(パターン①)のデータ分析の結果を対象医療機関に報告し、患者が連れてきたアドホック通訳者が介在する診療において調査(パターン②)の実施可能な方法を検討し、調査を実施する。調査期間は、平成28年度の調査時期と同じ時期とし、診療科ならびに医師をそろえてデータ収集する予定である。平成30年度に収集したデータを分析し、平成28年度の結果と比較検討を行なう。これらの研究成果を対象医療機関にフィードバックし、関連の学術集会で報告し、論文にまとめて学術誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度に実施する予定であった患者が連れてきたアドホック通訳者が介在した診療における調査(パターン②)の調査が延期になったため残額が生じた。パターン②の調査は平成30年度に実施する予定で、平成29年度の残額を使用する。
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Research Products
(6 results)