2016 Fiscal Year Research-status Report
系統的エラープルーフ法を用いたB型肝炎再活性化対策の構築
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16K15309
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山崎 正晴 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (60360054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 再活性化 / ガイドライン / エラープルーフ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は系統的エラープルーフ化プロセスを用いて再活性化対策を立案することを目標とした。1)対策の改善の機会を見つけるフェーズⅠで、HFMEA(Healthcare Failure Mode and Effect Analysis)に準じて対策プロセスフロー図を作成し、4つの主要プロセスと20のサブプロセスが設定された。次に設定されたすべてのサブプロセスについてヘルスケア一般化失敗モード(HGFM:Healthcare General Failure Mode)を支援ツールとして用いて、ガイドライン非遵守を引き起こす可能性のある潜在的エラーを計130項目リストアップした。サブプロセス当たりの潜在的エラーの数は6.5を示し、HGFMの使用により潜在的エラーを効率的に抽出できることが示された。2)対策案を生成するフェーズⅡでは抽出された潜在的エラーに対するエラープルーフ化の案を生成することを目標とした。このフェーズを支援するツールとして、「エラープルーフ化の原理」と「思考の向き」の典型的な組み合わせに焦点を絞り、対策を思いつくために作成された「質問票(QGEPS:Questions for Generating Error Proofing Solution)」を用いた。その結果、240の対策案が生成された。これらのうち、重複や統合できる対策案を整理し、93項目に絞り込んだ。3)対策案を評価・選定するフェーズⅢでは上記の対策案を評価し、実施するものを選ぶことを目標とした。このフェーズを支援するツールとしてSPN(Solution Priority Number:「有効性」「実施のためのコスト」「実施の容易さ」を3段階でランク付けし、それらの積をとって得られる)を支援ツールとして使用した。その結果、SNPが12点以上の高得点を示す50項目の対策案について実施に取り組むこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標である系統的エラープルーフ化プロセスを用いた再活性化対策の立案はほぼ達成されている。ただし、上記研究実績の概要で述べた「実施に取り組む50項目の対策案」のうち、16項目が電子カルテシステムもしくは検体検査管理システムのプログラム追加もしくは変更を要する。当施設では2019年1~2月に総合医療システムの更新が予定されている。このため、特にコストのかかる現行システムのプログラム変更について認可されるか否かが不透明である。プログラムの追加や変更が認められなかった場合の代替案の作成を現在行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は申請時の計画通り、医師に対するアンケート調査により、1)HBV関連マーカーの測定実施行動の分析、2) 医師のヒューリスティックに伴う認知バイアスの分析、3) 医師のエラー行動の自己認識に関する分析を行い、免疫抑制・化学療法剤を処方する医師のガイドライン遵守性に関連する意思決定プロセスを解析する。この解析結果をもとに、1)診療科毎および処方薬剤毎に重みづけをした対策のポイントを作成・提示して医師側にフィードバックし、2)初年度に完了させた対策の追加修正を行い、上記の分析結果を対策そのものに反映させる。その上で、年度末に再度、上記のアンケートを取り直す。初回と2回目での結果の比較および初回と2回目の調査時におけるガイドライン遵守率や再活性化症例の拾い上げ率、肝臓内科への紹介率を比較検討し、本研究による対策の最終的な有用性を評価する。
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Causes of Carryover |
直接経費の「その他」のうち、想定していた研究成果投稿料が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果投稿料として、次年度使用を予定している同項目と合わせて使用する予定である。
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