2017 Fiscal Year Research-status Report
言語統計と質的分析を用いた医学教育の主観的評価に関する研究
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16K15311
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
馬谷原 光織 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384184)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医学教育 / テキストマイニング / 質的研究 / 行動客観評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学教育で学生の能動的学習プログラムに多用される、ポートフォリオやレポートの評価方法は学生の多様性ではなく、教師が客観的に評価できる基準に主眼が置かれており、学生の多様性を前提にした、主観的評価の重要性やその意味について科学的な分析は未だなされていない。本研究の目的は教師の主観的評価がどのような要因や仕組みでなされるかを明らかにすることである。学生が作成した文章のテキストマイニングより言語空間の多次元解析をおこない、さらにその結果をうけた質的分析手法を組み合わせ科学的に解明する。次に、本手法が学生レポートや長文問題の採点など広範に利用できることを証明し、この「分析手法」の標準化をおこなう。最終的に、主観的評価が重要である医療者・患者間関係改善のための教育について研究を進める。面接現場より、質的データ(ビデオ記録、行動観察)を取得し、本研究で標準化された分析手法にて新たな主観的評価の「要素」や「視点」を把握し、これを教育するための教材開発に挑戦する。 本研究の最終目標はこの新しい分析手法を取り入れることで、患者中心の医療実践・教育の飛躍的進歩を期待するものである。研究課題A: レポートや長文記述問題の評価、臨床実習の学習日誌等に活用できることを確認する。さらに、医学教育現場の教師がおこなう主観的評価の科学的な解明をおこなう。研究課題B: 多彩な文章をそれぞれの目的に沿って活用できることを確認し、本研究手法が広く利用できるように標準化する。研究課題C: 標準化された本研究手法を用いて、主観的評価を科学的に分析し、医療者・患者間関係改善のための教育に活用できる教材開発をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次の項目について、一定の成果が得られ、これを汎用化するための技術的な解決に目処がついた。研究課題A:「レポートや長文記述問題の評価、臨床実習の学習日誌等に活用できることを確認する、さらに医学教育現場の教師がおこなう主観的評価の科学的な解明をおこなう」H29年度目標 研究課題B: 「多彩な文章をそれぞれの目的に沿って活用できることを確認し、本研究手法が広く利用できるように標準化する」この、課題B遂行中、ビデオ撮影に基づく行動記録に、新たな測定方法として、モーションセンサーによる行動の数値化を追加した。その結果、被験者の実際の行動と、被験者自身の行動振り返り記述を比較することで、研究の効率が飛躍的に向上した。従来、膨大な時前作業が必要であったビデオ行動記録と比較して、計測値がすぐに統計情報として適用できるためであり、統計開始までの時間は大幅に短縮された。H30年度はモーションセンサー計測を学生がおこなう模擬患者シミュレーション実習の行動記録を熟達した術者との統計値を、データマイニング手法を併用して比較する。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度目標の研究課題B:「多彩な文章をそれぞれの目的に沿って活用できることを確認し、本研究手法が広く利用できるように標準化する」と新たに加えた追加実験モーションセンサーによる行動の数値化の成果により、学習者(被験者)の多岐にわたる膨大な数値化できることが分かった反面、想定を超えたデータ量(言語記述分析、ビデオデータ、センサー数値)を分析する必要が出てきた。今後、限られたリソースの中で目標を絞って成果を出している必要性がある。H30年度は引き続き研究課題C:「標準化された本研究手法を用いて、主観的評価を科学的に分析し、医療者・患者間関係改善のための教育に活用できる教材開発をおこなう」を達成するため、膨大・多岐にわたるデータから、学生の行動特徴を効果的にまとめることがカギになると考えている。
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Causes of Carryover |
質的研究を自動化する研究手法の工夫により、ソフトウエア開発委託と電算機レンタル経費の、縮減が可能であった。研究者自身がモーションセンサー設計と開発をおこなっており実質部品代金のみで遂行している。本年度縮減した経費は、来年度以降の計画で研究成果のとりまとめと発表、ソフトウエア開発委託・電算機レンタル経費にあてることを想定している。
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Research Products
(1 results)