2016 Fiscal Year Research-status Report
医療面接におけるコミュニケーション技法の客観的評価指針の開発
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16K15312
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
阿部 哲也 関西医科大学, 医学部, 講師 (20411506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 順滋 関西医科大学, 医学部, 助教 (60368248)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 会話分析 / 医療面接 / 共感 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学生を対象とした医療面接における共感的態度の客観的評価指針の作成に向けて、平成28年度は医師による総合診療科での初診42場面と再診80場面(2-58分間)、医学生による各4分間の医療面接実習252場面のビデオ記録を収集した。医療分野での会話分析を用いた研究は増加傾向にあるが、我が国においては実際の診療場面の研究はまだ少なく、これは貴重なデータである。医学生の実践を評価するために、その比較対象となる医師の実臨床場面における共感的態度の具体的な把握を優先させることとして、まず総合診療科での初診33場面のトランスクリプトを、外部機関と大学院生アルバイトに委託して作成した。 会話分析を用いて医師による共感的応答の検討を進めているが、「それは大変ですね。」のような感情的アプローチは認められず、代わりに多くの場面で、「~ということですね。」のように身体症状を正確に把握するための確認応答を行っていた。特に総合診療科では、症状理解による診断の確定を期待する患者が多く、医師による情動面への追体験ではなくて身体症状への理解を示す認知的アプローチが、患者のニーズに沿った共感的態度となっている可能性が示唆された。また、医師は共感を示すために、患者がすべて説明する前に予想されることを言語的に先取りして伝えることや、視線や頷きなどの非言語的コミュニケーションを組み込むことなど、多彩な応答を展開していた。総合診療科では症状や疾患の種類、病悩期間も多様であり、計画段階での目標の40症例ではコミュニケーションパターンの分析には不十分であることが判明したため、これを初診100症例に上方修正して継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
診療場面のビデオ録画が予想以上にスムースに進行しており、またトランスクリプト作成のための大学院生アルバイトの人員確保も順調なため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はOSCEの医療面接場面のビデオ録画も平成28年度実施計画に組み込んでいたが、上述の理由から実臨床場面の検討を先行させており、平成29年度もこの方針を継続予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに予算執行が進んでいると考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度も計画通りに遂行していく。
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Research Products
(3 results)