2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of probes for cancer theranostics based on photoacoustic effect and application for innovative DDS
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16K15316
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐野 紘平 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (00546476)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリー / 光音響 / セラノスティックス |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外光を吸収して強い光音響シグナルを示す金属粒子を、ドラッグデリバリーキャリアとして使用されるリポソームの内水相に数多く内包し、また、リポソーム表面にがん標的抗体を付加した光音響分子プローブを創製することで、他に類を見ない、高感度な光音響分子イメージングを目指す。 さらに、プローブが音響シグナルを示す過程で生じる熱を利用すればがん細胞の死滅が期待できるため、本研究では、光音響法の治療への展開をも着想し、生体に安全な近赤外光を利用して、光音響法に基づくがんの診断と治療を同時に達成可能な新たなセラノスティックス(Therapeutics+Diagnostics)法の構築を目指すことを目的とする。
本年度は、まず、光音響シグナルユニットの構築を目的として、金ナノロッド(10×41 nm)を複数分子内包させたリポソームの作製を試みた。平均粒子径約70 nmのリポソームを作製したが、電子顕微鏡での観察により、金ナノロッドが粒子表面に接着している様子が確認され、想定とは異なり、粒子内に内包されていないことが明らかとなった。そこで、光音響シグナルユニットとして、金ナノロッドの代わりに酸化鉄ナノ粒子(平均粒子径10 nm)を選択し、同様の工程で内包化を試みた。電子顕微鏡観察の結果、アニオン性リポソーム(平均粒子径約85 nm、ゼータ電位約-50 mV)内に約100個の酸化鉄ナノ粒子が内包されていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、当初の計画では、リポソーム内水相に複数の金ナノロッドを内包させる予定であったが、リポソーム膜表面に結合していることが明らかとなったため、酸化鉄ナノ粒子に変更して検討を行った。その結果、リポソーム内水相に酸化鉄ナノ粒子を100個程度内包することに成功した。今年度、抗体分子の導入及びその機能性評価までを計画していたが、その点は次年度に検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はこれまでに、がんの悪性度との関わりが知られるHER2を認識可能な低分子化抗体を導入した酸化鉄粒子を用いた光音響イメージングに成功している。本研究で開発した酸化鉄内包リポソームを使用して、粒子表面に抗HER2抗体を導入し、がん細胞を用いた細胞取込み実験および健常マウス・担がんマウスでの体内動態の評価を行う。 抗体導入数について最適化し、最も良好な腫瘍集積性を示したプローブについて光音響イメージング実験を実施する。また併せてレーザー照射による鉄からの発熱を利用したがん治療の可能性について検討する。 以上より、本プローブを用いる高感度な光音響イメージングおよびがん治療への可能性を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画とは異なり、リポソーム内水相に内包させる金属ナノ粒子を、金ナノロッドから酸化鉄ナノ粒子に変更して検討を行った。その結果、リポソーム内水相への酸化鉄ナノ粒子の内包に成功したが、抗体分子の導入及びその機能性評価までを実施することができなかった。これらの検討に要する予算として、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
酸化鉄ナノ粒子内包リポソームの大量合成および抗体の導入検討を予定している。また、併せて、がん治療に使用するレーザーの購入を予定している。 平成29年度予算と合わせて、本プローブを用いた光音響シグナル測定、がん細胞への結合性評価、担がんマウスを用いた腫瘍集積性評価、光音響イメージング実験を進めていく予定である。
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