2016 Fiscal Year Research-status Report
α1-酸性糖蛋白質によるTLR4・マクロファージ制御を基盤とした腎疾患治療戦略
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16K15320
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70398220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田切 優樹 崇城大学, 薬学部, 教授 (80120145)
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | α1-酸性糖蛋白質 / アドリアマイシン腎障害 / マクロファージ / 糸球体バリア |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、炎症と蛋白尿を呈するアドリアマイシン腎症(AN)マウスに対するα1-酸性糖蛋白質(AGP)の治療効果と腎障害抑制機序について検討し、以下の知見を得た。 1)ANマウスに対するAGPの治療効果を検討した。アドリアマイシン投与直後より、AGP 5 mgを5日間連続腹腔内投与し、3週間後の尿蛋白と腎組織障害を評価した。その結果、AGP の投与は、蛋白尿を減少させ、腎組織障害を改善した。その際、腎臓におけるTNF-αとマクロファージ(Mφ)マーカーであるF4/80 の発現量が減少していた。 2)AGPによる腎障害抑制機序の解明を目的として、アドリアマイシン投与1週間後における外因性AGPの腎臓内局在を免疫染色にて確認した。その結果、投与したAGPの一部は腎糸球体に集積していた。この時、AGPの投与はANマウス腎臓において、M2型MφマーカーであるCD163 mRNA発現を有意に上昇させた。 3)Mφの極性に及ぼすAGPの効果について、PMA刺激ヒト単球様THP-1細胞を用いて評価した。その結果、興味深いことにAGP の添加濃度依存的にIL-10 とCD163 (M2マーカー)の発現上昇が観察され、iNOS (M1マーカー) 発現は減少していた。 以上の結果から、外因的なAGPの投与は糸球体バリア機能の保持による尿蛋白の抑制効果に加え、Mφに起因する炎症抑制効果の2つの作用により腎保護効果を有することが示唆された。本研究成果は、炎症と糸球体バリア機能を標的とした新たなCKD治療薬開発に向けての有用な基礎的情報なると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と分担者は熊本地震での被災のために研究スタートが遅れてしまった中でも、概ね目標に向けての研究を展開し、着実に成果を上げてきたと思われる。また代表者と分担者、連携協力者は有機的連携を実践し、相互の協力体制が築かれており、概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は震災の影響で、震災直後は研究活動が大きく出遅れたものの、現在は研究環境は概ね回復している。ただし、現在、薬学部動物舎の感染クリーンアップのために、やや動物実験が遅れる可能性が予想される。今後、代表者と分担者の有機的連携により研究展開を進める予定である。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] The down-regulation of ABCG2, a urate exporter, by parathyroid hormone enhances urate accumulation in secondary hyperparathyroidism2017
Author(s)
Sugimoto R, Watanabe H, Ikegami K, Enoki Y, Imafuku T, Sakaguchi Y, Murata M, Nishida K, Miyamura M, Ishima Y, Tanaka M, Matsushita K, Komaba H, Fukagawa M, Otagiri M, Toru Maruyama
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Journal Title
Kidney Int
Volume: 91
Pages: 658-670
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Indoxyl sulfate potentiates skeletal muscle atrophy by inducing the oxidative stress-mediated expression of myostatin and atrogin-12016
Author(s)
Enoki Y, Watanabe H, Arake R, Sugimoto R, Imafuku T, Tominaga Y, Ishima Y, Kotani S, Nakajima M, Tanaka M, Matsushita K, Fukagawa M, Otagiri M, Maruyama T
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 6
Pages: 32084
DOI
Peer Reviewed
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