2016 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群の新規診断薬候補・ACVR2Bの有用性検討
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16K15329
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 大介 九州大学, 医学研究院, 教授 (00426652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 謙 金沢大学, 附属病院, 講師 (60377380)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(MDS)は血球の形態異常と分化・成熟障害を主徴とし、その20-30%が急性白血病へ移行する、前白血病状態の疾患群である。国内における患者は約9,000人であり、高齢者に多発するため(国内9,000人罹患)、高齢社会の日本において今後増加が予測される。現状では、MDSは骨髄穿刺で得られた骨髄細胞の形態学的観察により診断される。従って、より客観的で非侵襲的に診断が可能なバイオマーカーの開発が必要である。申請者らは、正常な血球の分化・成熟機構の解析からMDSのバイオマーカーとして有用である細胞表面マーカーを見つけ、プレデータを得ている(PCT/JP2013/072335)。そこで本研究提案では、MDS患者血球における発現を解析し、MDS診断における有用性およびその機能について解析した。申請者らはこれまでの研究においてヒト末梢血における新規マーカーの発現を検討する為、モノクローナル抗体を作製している。ハイブリドーマ細胞をマウスに移植する事で抗体を生産させ、腹腔液を回収してそれをさらに精製する事で抗体を得た。骨髄異形成症候群含む貧血患者約20症例から末梢血を採取し、精製した抗体に蛍光色素を結合させてフローサイトメトリーの解析を行った。さらに新規マーカーを末梢血中の血球より効率よく抽出する為、抽出温度や界面活性剤等の検討を行い、至適条件を決定した。ELISAを構築し、リコンビナント新規マーカーを測定することで、測定条件の決定を行った。上記の結果、MDS患者において新規マーカーの発現が上昇する結果を得た。今後は、再現性の検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MDS患者末梢血におけるタンパク質の発現解析を行うため、研究参加への同意が得られたMDSを含む貧血患者の末梢血を診察時に採取した。採取した末梢血をPBSで洗浄し、申請者らが独自に作製した新規マーカーに対するヒトモノクローナル抗体を使用して以下の解析を行った。Flow cytometry法を用いて20症例の解析を行い、MDS患者末梢血において新規マーカーの発現が上昇する傾向が見られた。MDSは様々な病型を持つことから更に解析数を増やす事が望ましいと考えられた。また、Western blottingによる新規マーカーの発現解析を行い、健康成人と比較してMDS患者において、発現が有意に上昇する結果を得た。さらに、ELISAプレートを構築し、リコンビナントタンパク質を用いてその測定条件の検討を行った。新規マーカーを末梢血中の血球より効率よく抽出する為、抽出温度や界面活性剤等の検討を行い、至適条件の決定まで完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
MDSは様々な病型を持つ為、更に検体を集めて解析数を増やし、再現性を確かめる実験を行う。さらに、構築したELISAプレートを用いて、臨床検体の測定を行う。この際、末梢血の処理は、本年度決定した至適条件で行う。また、新規マーカーの造血における機能を解析するため、新規マーカーのリガンド非添加若しくは添加条件下でヒト/マウス造血幹細胞を培養して赤血球へ分化誘導し、その分化効率を比較する。以上の研究により、新規バイオマーカーの有効性が確立されたら、MDS患者における新規バイオマーカーに対する遺伝子の変異の検索を行う。
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Causes of Carryover |
申請者らは予定通り、骨髄異形性症候群を含む貧血患者20症例の検体を採取し、新規マーカーの解析を行い、その有効性を検証した。さらにELISA測定系の構築も完了している。今後は、MDSは様々な病型を持つため、再現性を検証し、我々が見出した治験の確認を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
MDSは様々な病型を持つ為、更に検体を集めて解析数を増やし、再現性を確かめる実験を行う。また、新規マーカーの造血における機能を解析するため、新規マーカーのリガンド非添加若しくは添加条件下でヒト/マウス造血幹細胞を培養して赤血球へ分化誘導し、その分化効率を比較する。
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