2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15354
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
成田 暁 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50459468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 元 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (10317745)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分析疫学研究において日々大規模化するデータを効率的かつ最大限に活用し、個別化予防・医療の柱の一つである、高精度疾患発症リスク評価システムの確立を目的としている。3年間の予定実施期間中、2年目(平成29年度)は引き続き、因果関係や相互作用に起因する複雑な関連構造を、ネットワーク理論を用いて解析するためのアルゴリズム構築に向けた検討を行ったほか、遺伝的近縁性や共通環境に起因するサンプル間の非独立性が、関連解析に及ぼす影響についての検討を行い、第28回日本疫学会学術総会(平成30年2月1日-3日、福島市)にて発表を行った。本研究結果を端緒として、遺伝因子や共通環境因子が血圧等にもたらす影響を定量化する手法の開発を進める。 また、東北メディカル・メガバンク事業 地域住民コホート調査のデータを用いて、東日本大震災による家屋の被災状況と骨密度の関連に関する解析を行った結果、60歳以上の女性において、家屋損壊程度と骨密度の関連が顕著であり、特に中高年女性の被災者に対して、骨密度低下防止のための積極的なケアが重要であることを、第76回日本公衆衛生学会総会(平成29年10月31日-11月2日、鹿児島市)にて発表した。 さらに、七ヶ浜健康増進プロジェクトのデータをもとに、東日本大震災における外傷と心理的苦痛の関連を検証し、第75回日本公衆衛生学会総会(平成28年10月26日-28日、大阪市)にて発表を行ったが、こちらについては日本公衆衛生雑誌に受理され、同誌65巻4号に掲載予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目である平成28年度は、ネットワーク理論の基本事項を整理、体系化し、因果関係や相互作用に起因する複雑な関連構造を解析するためのアルゴリズム構築に向けた検討を行った。 一方、大規模化データの有効活用には、項目間のみならず、遺伝的近縁性や共通環境に起因するサンプル間の非独立性を考慮することも重要であるため、2年目である29年度は、東北メディカル・メガバンク事業 地域住民コホート調査のデータを用いて、サンプル間の遺伝的近縁性が関連解析に及ぼす影響についての検討を行い、第28回日本疫学会学術総会(平成30年2月1日-3日、福島市)にて発表を行った。本研究結果を端緒として、遺伝因子や共通環境が血圧等にもたらす影響を定量化する解析の準備や、家族関係情報の整理を進めている。 また、上記と並行して、東日本大震災による家屋の被災状況と骨密度の関連などの解析を行い、第76回日本公衆衛生学会総会(平成29年10月31日-11月2日、鹿児島市)にて発表している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、東北メディカル・メガバンク事業 地域住民コホート調査のデータを用いて、家族関係やゲノム情報に基づき、遺伝因子や共通環境が血圧等にもたらす影響を定量化する解析を行う。 また、東北メディカル・メガバンク事業では、平成29年6月より詳細二次調査も実施しており、ベースライン調査時からの変化を通して、東日本大震災による家屋の被災状況が骨密度などに与える影響に関する縦断研究デザインによる解析も並行して行う。
|
Causes of Carryover |
多忙のため、当初予定していた、日本人類遺伝学会第62回大会への参加を見送った他、論文化が当初より若干遅れたため、30年度における各種学会の参加費、論文校正費、投稿代への充当を予定している。
|
Research Products
(3 results)