2016 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞病院到着前心肺停止の現状と地理情報システムを用いた危険因子の解明
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16K15355
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
平山 敦士 山形大学, 大学院医学系研究科, 客員研究員 (20637350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 功 山形大学, 医学部, 教授 (30161673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 予防医学 / 急性心筋梗塞 / 循環器疾患 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心筋梗塞の予後は経皮的冠動脈形成術をはじめとした急性期治療の発展によって著しく向上してきた。しかしながら、急性心筋梗塞患者のうち病院到着前に心肺停止状態に陥った症例は生命予後・社会復帰率が著しく低く、心筋梗塞が社会に与える疾病負荷を軽減するためには病院到着後のケアと並行して病院外の対応の強化が肝要である。こうした急性期治療の進歩の恩恵を得られずに死亡している症例は決して少なくないが、その実態は十分には把握できていない。本研究では我々がこれまで蓄積してきた100万人規模の医療圏における心筋梗塞症例の悉皆的登録研究を応用し、病院到着前心肺停止症例に着目し、その実態と危険因子の探索を行い、国民の健康向上に寄与することを目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は既存のデータの収集・整理を行い、急性心筋梗塞患者における院外心肺停止の記述疫学研究を完成させることを目的として研究を行った。急性心筋梗塞登録情報の二次利用申請で、院外心肺停止と考えられる症例の抽出を行った。本研究で用いるのは山形県急性心筋梗塞発症登録研究評価事業のうち「死亡小票からの登録」が可能となった2010年以降の登録情報とその後の予後情報(4年目まで)で解析を試みた。急性心筋梗塞患者地理的記述疫学について集計した。特に、ArcGISを導入に、山形県の病院、診療所の住所に基づくマップの作製、各種疾患推計患者数統計などによる解析などを開始した点は予想以上に進捗がある。
一方、主任研究者が研究身分の変更、勤務形態の変更などがあり、進捗に遅れが見られた点もあった。具体的には、院外心肺停止症例の妥当性評価については死亡小票由来の情報の診断の根拠が確認できていないため、妥当性の評価が必要となる。本研究では急性心不全や、心臓性突然死といった心筋梗塞による死亡が否定できない病名の登録は除外し、急性心筋梗塞(ICD-10におけるI-21)を対象とする。対象となった死亡小票に立ち返り、個々の死亡小票に付帯する情報の検証を行い補足するものとするが、この作業については進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、新たに主任研究者が研究解析を行う時間の確保が可能となるため、研究の推進を図る。すでに、院外心肺停止症例の特徴を、地理情報システムを用いた解析および資料の作成を行うためのArcGISの導入を行っておりGIS解析、発症者住居のマッピングおよび急性期病院までの距離算定、山形県で年間約1500例(病院からの登録約500例、死亡小票からの疑い症例を含む1000例)生じている心筋梗塞患者の医療アクセスについて道路距離を用いた連続変数として客観的指標化を行う予定である。なお、この際死亡小票由来の登録症例は正確な発症場所の同定が困難であるため、本研究においては発症者の住所を出発点として、目的地である急性期病院は24時間365日緊急心臓カテーテル治療およびその後の集中治療を提供可能な病院と定義する。統計解析としては、全登録症例のうち死亡小票からの見えられた登録症例と、院外心肺停止症例を従属因子として、独立因子として年齢・性別・発症季節に加え病院へのアクセスなどの因子を用い、ロジスティック回帰分析やMixed linear modelなどを用い関連する因子を探索する解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に行う予定であった妥当性研究の進捗の遅れがあり予算の持越しが生じた。特に、事務補佐員雇用、学会発表の予算が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の計画の中で持ち越した予算を使用して研究を推進し、情報収集を行うための事務補佐員の雇用、研究計画に沿った遂行を目指す予定である。併せて、今年度は研究調査のための学会参加、研究報告のための学会参加などを行う予定である。
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