2017 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞病院到着前心肺停止の現状と地理情報システムを用いた危険因子の解明
Project/Area Number |
16K15355
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
平山 敦士 山形大学, 医学部, その他 (20637350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 功 山形大学, 学内共同利用施設等, 理事 (30161673)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 院外心肺停止 / 急性心筋梗塞 / 地理情報システム / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究課題の一つであった、急性心筋梗塞病院到着前心肺停止症例の特徴について解析を行った。2010年から2012年までの3年間のデータで、登録された3663例の心筋梗塞のうち、経皮的冠動脈形成術を含む循環器救急医療を提供可能な医療機関に到着できた症例は1743例(47.6%)で、残りの1920例は死亡小票より登録された。死亡小票より登録された病院到着前心肺停止症例は到着例に比べ高齢で、女性が多く、また発症季節は冬季(12月から2月)が多かった。多変量ロジスティック解析の結果、高齢(10歳上昇毎, Odds ratio 1.55, 95%信頼区間 1.47-1.66, P<0.01)、女性(vs.男性, Odds ratio 1.26, 95%信頼区間 1.09-1.47, P<0.01)、冬季発症(vs.夏季発症, Odds ratio 1.36, 95%信頼区間 1.12-1.66, P<0.01)で病院到着前心肺停止のリスクが高まることが分かった。超高齢者では積極的に加療を望まないケースもあるため、85歳未満の集団に限定して同様の解析を行ったが同様の結果を認めた。現在登録データが2010年から2014年までの5年間分蓄積(約5500症例)できており、それを用いて同様の解析を行いより結果が妥当なものであることを検証する予定としている。 本解析はこれまでに明らかになっていなかった急性心筋梗塞の急性期医療機関到着前の心肺停止症例の割合とその特徴を明らかにした初めての解析であり、病院前まで包括した治療閃絡のうえで重要な基盤となりうるデータである。今後はこれに加えて急性期医療機関までの地理的因子がどのように影響しているのかを地理情報システムを用いて検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主任研究者が2016年7月から2018年3月までHarvard School of Public HealthのMaster of Public Healthプログラムへ進学・留学していたため日本を離れていた期間があり、当初の計画よりも進捗が遅れたため、一年の延長を申請した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度の計画としては、まず今年度明らかにした解析結果をもとに2010年から2014年までの5年間のデータに拡大したうえで再解析を行い、論文を作成し学術誌に投稿する予定である。 さらに本研究計画の第二の目標である地理情報システムを用いた解析(患者居住地と急性期医療機関までの地理的距離をexposureとして病院到着前院外心肺停止への影響を検討する解析)があるが、対象者への倫理的配慮から個人の住所を特定できる形での情報を入手することは難しく、今後は市町村単位での地理情報を用いて追加解析を行う予定である。すでに基盤となるデータの収集は終了しており、今後は地理情報システムで解析可能なフォーマットへ変換して解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
主任研究者が2016年7月から2018年3月まで米国に留学していたため、研究費の使用が発生しなかった。研究計画を当初予定の平成29年度までから平成30年度までに一年間延長したため平成30年度に使用額が生じた。
|