2016 Fiscal Year Research-status Report
がん検診の生存率改善評価方法の構築と肝癌サーベイランスへの適用
Project/Area Number |
16K15357
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秋田 智之 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (80609925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 純子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70155266)
大久 真幸 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (20727250)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん検診の有効性 / リードタイムバイアス / 肝癌サーベイランス / 数理疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん検診受診群と非受診群の生存率を比較により、がん検診の有効性を検討する際には、リードタイムバイアスによる影響を考慮しなければ、がん検診の有効性を過大評価することになる。そこで、本研究では、リードタイムバイアスを補正したうえでがん検診受診群と非受診群の生存率を比較する方法を開発した。1)観察期間の定義を補正観察期間「がんが発見可能なサイズになった時点から死亡または観察終了時点まで」に変更する。2)がん発見時と手術時の2時点の肝癌サイズをもとに、倍加時間(Doubling time)を推定する。3)がん発見時のサイズをもとに、倍加時間を用いて「がんが発見可能になった時点」を推定し、補正観察期間を推定する。4)がん検診受診群と非受診群の補正観察期間を用いて、通常の生存時間解析(ログランク検定)により生存率を比較する。本研究では、このリードタイムバイアスを補正して生存率を比較する方法を、研究者が所属している講座と協力関係にある4つの医療機関(所在地:岐阜、北海道、愛媛、新潟)の肝癌サーベイランス(肝炎ウイルスキャリアに対する定期的なフォロー)のデータに対し適用し、肝癌サーベイランスの有効性について検討した。その結果、リードタイムバイアスを補正したうえでも、肝癌サーベイランスにより肝癌を発見した群は外来で肝癌を発見された群よりも生存率が有意に高かった(p<0.05)。本研究の方法論およびデータ解析結果については、2016年9月にイギリスで行われたPopulation-based Time-to-event Analysis International Conference (PTA2016)においてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リードタイムバイアスの補正についての方法論の構築およびその実際のデータ解析への適用については申請時の予定よりも早く終わることができた。一方、本研究の申請では、倍加時間の推定をシステマティックレビューおよびメタアナリシスで行うこととしていたが、4医療機関の肝癌サーベイランスのデータから推定可能であったため、これらは行わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、肝癌サーベイランスの有効性評価において、対象者の背景(肝障害度、病因)を考慮した解析を行い、再解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)