2017 Fiscal Year Research-status Report
原爆被ばくによる悪性リンパ腫発症リスク解明への新たなアプローチ
Project/Area Number |
16K15358
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩永 正子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00372772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 大介 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (20426563)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 放射線被ばく / 病理診断 / 発症リスク / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はリンパ系腫瘍を専門とする病理医による詳細分類を基盤に、これまでの研究にはない組織分類別リンパ系腫瘍の放射線被ばくによる発症リスク特性を明らかにする事を目的としている。2年目となる本年度は、昨年度までに確定した長崎県がん登録中の悪性リンパ腫症例11,378件の個別データと被ばく者データベースとのリンケージが終了したデータセットについて、研究分担者と病理学的観点・病因起因性の確実性の観点から組織分類をグルーピングする根拠について議論したあと、信頼性レベル分け作業を行った。その結果、最終的に11,124例(男5,981例, 女5,143例)の最終データセットを固定し、発症部位・発症年齢・組織型発生頻度などについて一般集団と原爆被ばく者集団を比較する疫学解析用データ加工作業を進めた。並行して、研究開始前に予想していなかった重複悪性リンパ腫 (49例)についても詳細な解析を行った。うち原爆被爆者の症例は6例であった。全悪性リンパ腫発症者中の重複リンパ腫発生の頻度は0.44% (95%CI, 0.32~0.56%)、男性0.50% (95%CI, 0.35~0.72%) 、女性0.37% (95%CI, 0.20~0.54%) であり、男女比のOdds 比は1.36 (95%CI, 0.76~2.42; P=0.29)であった。 第1―第2リンパ腫の組み合わせで最も頻度が多かったのはMarginal Zone Lymphoma―Diffuse large B cell lymphomaであった。更に、Composite/Discordance type, Sequential typeに区分けして重複パターンを詳細に解析し、国際学会で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計解析用データセットの最終固定作業を予定通りに進め、更に、研究開始前に予想していなかった貴重な重複リンパ腫症例について詳細な解析を行い、国際学会で公表する事ができ概ね本年度中の目標を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までに固定した最終個別データセットを基に、集団レベルでの発症部位・発症年齢・組織型発生頻度などについて統計解析をおこない、一般集団と原爆被ばく者集団との比較、さらに、被ばく者データセットにおいては被ばく状況別発生頻度の解析を行い、リンパ系腫瘍の発症と放射線被ばくとの関連を包括的にまとめる予定である。貴重な重複リンパ腫症例については早急に論文化をおこなう。
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