2018 Fiscal Year Research-status Report
原爆被ばくによる悪性リンパ腫発症リスク解明への新たなアプローチ
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16K15358
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩永 正子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00372772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 大介 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (20426563)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 放射線被ばく / 病理診断 / 発症リスク / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はリンパ系腫瘍の詳細分類を基に、放射線被ばくによるリンパ系腫瘍の発症リスク特性を明らかにする事を目的とする。3年目の本年度は、B・T区分や細胞成熟度の分布を解析後、被爆状況別に比較するため、まず、重複悪性リンパ腫例の処理方法を検討した。これらの症例は本研究の目的であるB・T区分や成熟度区分が困難であるため、「重複悪性リンパ腫」という新規カテゴリーとして処理し、最終的に11,112例(男5,978, 女5,134)の解析データセットを再構築した。このデータセットを用いてCell-lineage, Cell-maturityの分布を男女別・診断時年齢別に検討した。B-cell lineage/Maturityはprecursor B (B1), mature B (B2), other B (B3)の3群、T-cell lineage/Maturityはprecursor T (T1), mature T/NK (T2)の2群に分類し, 残りはundetermined cell-lineage NHL (U), HL (H) とその他 (O)に分類した。Cell-lineage/maturity分布は、男女別ではB2とT2の割合が女性多い傾向にあったが有意ではなかった。診断時年齢グループ別ではB2とT2の割合が70歳以上群に有意に多かった。これらの結果は2019年3月の国際学会で公表した。さらに症例の背景を被ばく集団と非被ばく集団に分けて比較すると、前者で女性の割合が有意に多かったが、診断時年齢とB/T比には差がなかった。被ばく距離・被ばく時年齢の違いによるCell-lineage, Cell-maturityの分布の差異については時間を要するため、次年度に研究期間を延長して詳細に検討することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に固定した症例のうち、データ解析中に新たな重複登録も判明し、再度全ての症例について重複確認作業を行い、データセットの再固定を行う必要が生じたため、最終目的である性・年齢の影響を超えた被ばく距離・被ばく時年齢によるCell-lineage, Cell-maturityの分布に関する解析が予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、最終年度の平成30年度内にリンパ系腫瘍の発症と放射線被ばくとの関連を包括的に統計解析する予定であったが、データセットの複数回の再固定により統計解析の進捗が遅れてしまい、研究期間内に論文作成が終了できなかったため、研究期間を1年延長し、最終統計解析と論文化を終了させる予定である。
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Causes of Carryover |
2019年3月末の国際学会発表用のデータ解析の課程で、前年度までに固定した症例のなかから新たな重複登録が判明し、再度全ての症例について重複確認作業を行い、データセットの再固定を行う必要が生じたため、最終目的である性・年齢の影響を超えた被ばく距離・被ばく時年齢によるCell-lineage, Cell-maturityの分布に関する解析を研究期間年度内に終わらせることができず、論文を完成させることもできなかった。そのため、研究期間を延長して論文化作業を継続し、次年度使用額は論文完遂のための英文校正費と印刷費のみに使用する予定である。
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