2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of toxicity of organic arsenic compounds in marine products used for Japanese food and search of toxicity-reducing
Project/Area Number |
16K15382
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30321897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 敏明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (90405275)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒ素 / 和食 / アルセノシュガー / 脂質性ヒ素化合物 / 毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
和食食材において海苔に含有される有機ヒ素化合物の毒性評価は、海苔が寿司の普及とともに国際的に需要が高いことから、安全性の検証のためにも充分な研究の必要性がある。前年度の研究から、海苔中アルセノシュガー(As-sug)について一般毒性やアポトーシス試験などで検討した結果、無機ヒ素に比較して明らかに毒性は低い傾向にあるが、As-sugの主要な代謝物であるジメチルアルシン酸(DMA)に比較すると毒性に大きな差異がなかった。現状の研究結果を総合的に判断した結果、As-sugを無毒のヒ素として評価することは難しく、さらに、海藻類の調理や胃内での消化などを想定した検証の必要性も認識された。 和食の普及から出汁の作製に必要な昆布についても、海苔と同様にAs-sugが豊富に含有される実態が明らかにされており、安全性の検証が求められる。本研究では、海苔や昆布に含有しているAs-sug類が無機ヒ素やDMAに脱メチル化(分解)するか否かを解明することにより、人が食事から摂取する海藻類中As-sug類の生体影響の解明に寄与すると考えている。 国内で流通している主要な3地域の海苔と昆布を研究対象として、それぞれの海藻は超純水に室温で8時間浸しAs-sugを抽出した。調理や消化を想定した試験条件は、煮る、胃酸(pH 1.2)、消化酵素(pepsin)などとし、それぞれ1時間処理した。処理液をHPLC-ICP-MS法にて化学形態別にヒ素を測定したが、無機ヒ素やDMAの検出は認められなかった。 IARCが発がん性物質として認定している無機ヒ素とDMAが、海藻類中As-sugから調理や胃内消化により生成されない/されにくい結果が確認できたことは意義があり、和食食材中ヒ素の安全性の検証が一歩前進したと考える。
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Research Products
(1 results)