2017 Fiscal Year Research-status Report
トリクロロエチレンによる全身性皮膚-肝障害はCYP2E1自己抗体により惹起される
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16K15383
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 特任教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山ノ下 理 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (50424924) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トリクロロエチレン / Hypersensitivity / CYP2E1抗体 / 性差 / 喫煙 / 飲酒 / 皮膚病型 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査対象者は2004年から2009年に中国広東省職業病防治院に入院したトリクロロエチレン(TCE)による過敏症症候群(Hypersensitivity)で入院した患者69名(男性45名、女性24名)、性と年齢を1:1でマッチさせたTCE曝露労働者とTCE非曝露労働者であった。 患者は入院時に、TCE曝露労働者は作業終了時に、TCE非曝露労働者は検診時に採血し、血清に分離後-80℃で保存した。CYP2E1抗体は我々の開発した方法で測定した。全体では、3群の間にはCYP2E1抗体レベルに有意差がみられ、TCE曝露労働者>患者>TCE非曝露労働者の順であった。男性では、やはり3群間に有意差がみられ、TCE曝露労働者>患者>TCE非曝露労働者の順であった。女性では、TCE曝露労働者>患者=TCE非曝露労働者であり、患者とTCE非曝露労働者の間に有意差を認めなかった。TCE曝露労働者と非曝露労働者には性差が認められ、女性>男性であった。女性の喫煙者と飲酒者はTCE非曝露労働者にそれぞれ1名のみであったので、男性において、喫煙と飲酒のCYP2E1抗体レベルに与える影響を検討した。しかし飲酒と喫煙のCYP2E1抗体レベルへの影響は観察されなかった。患者の皮膚の病型とCYP2E1抗体レベルの関係も検討した。女性の剥脱性皮膚炎(ED)患者はnon-ED(多形紅斑、中毒性表皮壊死融解症)患者より高い傾向を示したが有意差はなかった(p=0.075)。男性においては、両者の間に有意差はなかった。 以上の結果は、TCE曝露が血清CYP2E1抗体レベルを上昇させることを示しており、これがHypersensitivityの原因となるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリクロロエチレン非曝露労働者のサンプル収集に少し手間取っていたが、年度末になって揃ったので、CYP2E1抗体のELISA解析は終了した。 論文を現在作成中。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、市販のCTP2E1を用いて、我々が合成したCTP2E1を用いた解析との比較を行い、さらに血清にCTP2E1たんぱくが存在するか検討した後、論文を完成させ、投稿する。
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Causes of Carryover |
研究対象者を患者69名に対して、トリクロロエチレン曝露対象者とトリクロロエチレン非曝露対照者を性と年齢を1:1でリクルートした。しかし、トリクロロエチレン非曝露対照者10名のサンプリングがマッチしていないことが判明し、新たにリクルートし直した。これに時間を要したため、29年度末までにCYP2E1抗体の測定が完了しなかった。これに関しては3月末にサンプルが入手でき、4月に実験研究者を雇用した。これに約28万円必要である。 今一つは購入した市販のCYP2E1たんぱくが不良品で、メーカーから再度商品を無償で提供して頂いたので、申請者らの合成品との力価の違いを検討をする。 最終的に論文を作成する。研究支援者に28万円、英文校正に約10万円、掲載料に約10万円使用予定である。
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Research Products
(6 results)