2017 Fiscal Year Research-status Report
生息海域と深度によるメチル水銀の含有量比較と魚食によるリスク評価
Project/Area Number |
16K15387
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
柿本 幸子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 企画部, 主任研究員 (80291219)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 総水銀 / メチル水銀 / ベニズワイガニ |
Outline of Annual Research Achievements |
既法を改良したメチル水銀分析法を用いて、日本近海で漁獲された生のベニズワイガニ41試料の総水銀およびメチル水銀を測定した。また、ベニズワイガニは、茹でた状態で流通する事例が多い。そこで、様々な海域で多数の試料を収集する目的で茹でたベニズワイガニ39試料の総水銀濃度を測定した。今回の調査により得られたベニズワイガニ中のメチル水銀、水銀濃度は、既報のカニ(blue crabs, edible crab, Chinese mitten crab, red king crab)の濃度と比較すると、特に高いものではないと考えられた。今回調査した生ベニズワイガニ中の総水銀濃度とメチル水銀濃度との関係を検証した結果、ベニズワイガニでは水銀は概ねメチル水銀の形態で蓄積されていることがわかった。この傾向は、他の魚種と同様であった(Sato N.,et al, Residues of total mercury and methyl mercury in eel products. Shokuhin Eiseigaku Zasshi(Food Hyg. Saf. Sci.), 46, 298-303(2005))。また、体重と総水銀及びメチル水銀の濃度に相関が認められた。このことから、海洋の中深層に生息し、寿命の長いべニズワイガニは、生息域の食物等から取り込んだメチル水銀を経年的に体内に蓄積していくという推測が正しいことが示唆された。 また、魚類(タイ、サバ、ブリ)についてメチル水銀分析法の性能をみたところ、「食品中の金属に関する試験法の妥当性評価ガイドラインについて」第0926001号の目標値(真度80~110%、併行精度<10%、室内精度<15%)を満たし妥当性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サバを酵素処理した健康食品中に含まれるセレノネインをLCMSMSで測定したが、莢雑ピークと重なりうまく測定できなかったため、物性が似ているエルゴチオネインを用いてLCMSMSで測定条件を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
1. セレノネインは標準品が市販されていないことから、物性が似ているエルゴチオネインを用いてLCMSMS分析法を検討する。 2. GCMS分析は誘導体化が必要で煩雑なことから、メチル水銀のLCMSMS分析法を検討する。 3. 現行の方法は前処理に1日半を要することから、液液抽出を固相抽出法におきかえるなど前処理法の簡便化を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) セレノネイン標準品が入手困難で、セレノネインを含有する食品を用いての測定条件の検討も上手くいかなかったことから、分析法確立が進捗していない状況である。そのため、支出額が抑制され、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度に、セレノネインに物性が類似しているエルゴチオネインを用いてLCMSMSを用いた分析法を確立する予定である。以上の研究計画を遂行することで、次年度使用額は適正に執行可能である。
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[Journal Article] 魚介類中メチル水銀のフェニル誘導体化 GC/MS 分析法の妥当性確認2017
Author(s)
柿本幸子,吉光真人,阿久津和彦,清田恭平,藤原拓也, 昌山 敦,高取 聡,渡邉敬浩,梶村計志,山野哲夫
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Journal Title
大阪健康安全基盤研究所 研究年報
Volume: 1
Pages: 36,40
Peer Reviewed
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