2017 Fiscal Year Research-status Report
患者幸福のための、救急・集中治療領域における説明同意過程の標準化に関する研究
Project/Area Number |
16K15395
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
織田 順 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (60459500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 香里 (鈴木香里) 東京医科大学, 医学部, 助教 (10366130) [Withdrawn]
東 一成 東京医科大学, 医学部, 助教 (20449169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / インフォームド・コンセント / 救急集中治療 / 患者満足度 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフォームド・コンセント(IC)は、患者中心の医療において根本をなす概念として強調されて久しいが、現場での工夫の域をなかなか超えず、真に納得を共有するためのプロセスとなっているとは言えない。特に救急・集中治療領域では病態多様性・具体的イメージの困難さ・時間的制約から、説明のすれ違いが係争の原因となる事例が未だに多い。本研究では、医療の複雑化と高齢化が急速に進む中、「こんなはずではなかった」をなくすために、医療(医学)のみならず、社会学(コミュニケーション)、法学(法的・人権担保)、デザイン学(文書や図表の視覚効果)の各領域の融合により、多数の医療行為や方針決定について、社会に求められるICを学術研究として確立し、具体的ツールを制作・提供することを目的とするものである。 初年度には診療報酬点数表のJ・Kコードに相当する処置/手術のうち、現状で、書面による説明と同意を得る手順を経ている・経ていないにかかわらず、特に専門診療科に関わらず頻用される、一般処置・救急処置・小外科手術を中心とした100余りの上位項目を抽出した。これにより根拠に基づいた頻出する処置が選択できた。 本年度には、造影剤のような薬剤使用リスクのあるものや、輸血実施に伴う同意と書類、DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)、移植医療と意思決定に関わるものなど重大と感じられる方針決定に関わる同意形成を加えた。さらにIC書式を収集して、コーパス(言語研究データベース)の考え方により、Nグラム(全文解析による単語ごとの出現頻度分析)を使用して、書類に使用されている全単語とその頻度を抽出した。実際に有害事象が発生する可能性が高い部分との比較を行い、妥当性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・IC書式収集とコーパスの考え方によってNグラムを使用して、全単語抽出と頻度の比較を行うことができた。 ・上記に伴う研究経費使用についても極めて適正に執行することができた。 ・多施設のものを収集して、より標準的で信頼できる内容にできた。 ・進捗としては、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画段階に比較して、医療安全、ICに求められる条件がますます広く深くなってきており、本研究の意義が増してきている。できるだけ早く、現場で使えるツールを公表・還元できるよう推進する。本年度は、未だ国内で一定の死亡例が散見される、中心静脈カテーテル挿入術に注目して、他施設での標準化を行った。
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Causes of Carryover |
・形態素解析(Nグラム)を行うためのシステムについて、本年度必要な部分については、これまでの研究グループで開発したものを使用して研究可能であったため。また、海外学会発表に係る支出は概算を下回ることができた。 ・関連施設間での標準化としたため経費節減できた。 ・形態素解析(Nグラム)を行うためのシステムは次年度により研究の進捗にあったものを開発する。
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Research Products
(2 results)