2019 Fiscal Year Annual Research Report
Histopathological analysis of subfornical organ in the human brains following traumatic head injury
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16K15405
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
原田 一樹 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 法医学, 准教授 (00253146)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 頭部外傷 / 法医神経病理 / 神経病理 / 脳弓下器官 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、法医解剖中の頭部外傷事例(及び対象事例)のヒト剖検脳を用いて、電解質コントロールに関して重要な役割を担っていると考えられている脳弓下器官(SFO)の形態学的変化などを、病理組織学的に検討することである。さらに研究で得られた結果から、頭部外傷患者の電解質コントロールのために有益となり得る情報を法医学領域より提供することを目指す。通常、頭部外傷事例を解剖する機会を持つのは、(病理医ではなく)法医病理医である。したがって、法医解剖からのみ得られるヒト頭部外傷の剖検例を用いてSFOの解析を行う研究には前例がなく独創的である。 本研究遂行のために重要なプロセスは、解析に必要な数の頭部外傷事例及び対象事例の集積であったが、補助事業期間において頭部外傷事例の解剖数が予想していた数より少なく、さらにいくつかの事例は、死後変化の影響が強かったために本研究から外さざるを得なかった。また、大きさわずか1ミリの微小器官であるSFOの切り出し・包埋・薄切には技術的な困難さを伴うため、手技の安定に時間を要した。したがって補助事業期間中に、統計的検討に必要な事例数を集積することはできなかった。しかし、複数の事例のルーチン染色標本の検討により得られた病理組織所見は、SFOの乏しい組織学データに有益な情報を提供することができると考える。また、複数の頭部外傷事例では、SFOに微小出血が認められたが、これは頭部への回転加速衝撃に対する脳の正中構造の脆弱性を裏付ける所見である。 補助事業期間中には、頭部外傷、法医病理、神経病理、神経解剖、神経画像診断に関する多くの学会やセミナーに参加したが、実験の遂行及び継続に必要とされる最新の情報を得るために非常に有益であった。科学研究費助成事業の助けによって得られたデータを土台として本実験を継続して行く予定である。
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