2017 Fiscal Year Annual Research Report
Daikenchuto, a traditional Japanese Kampo medicine, suppresses colonic tumorigenesis associated with chronic colitis in mice
Project/Area Number |
16K15408
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
門脇 真 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20305709)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大建中湯 / 慢性大腸炎関連発癌 / 急性大腸炎 / 疾病前状態の予測 / 数理解析 / 経時的全遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスDSS誘起急性大腸炎モデルでの数理解析:3%デキストラン硫酸ナトリウム (DSS) を7日間継続的に自由飲水させ、5日目から急性大腸炎を発症するDSS誘起急性大腸炎モデルを作製した。本モデルに疾病前状態を予測する数理モデル理論である動的ネットワークバイオマーカー(Dynamical Network Biomarkers, DNB)理論を適応し、遺伝子群が最も大きく変動、ゆらいだ3日目が疾病前状態、すなわち未病状態であることが分かった。疾病前状態の3日目では238個の遺伝子群が大きく変動し、本遺伝子群を解析した結果、これらの遺伝子群の多くがNK細胞に関係する遺伝子群であった。そこで、NK細胞を除去するためAnti-asialo GM1抗体を本モデルマウスに投与したところ急性大腸炎は抑制され、NK細胞が急性大腸炎の未病状態から病態発症の過程で重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、大建中湯は本急性大腸炎を有意に抑制した。 マウスCACモデルでの検討:大建中湯は大腸炎関連発癌(CAC)マウスでの大腸発癌を有意に抑制した。CACマウスおよび大建中湯を投与したCACマウスでのDNB理論等による解析は現在進めているが、大建中湯はCAC マウスで、“T cell signaling pathway” 、“TNF-alpha signaling pathway”や“Wnt signaling pathway”に関連する遺伝子群を抑制することにより、その薬理作用を発揮すると推察された。 腸内細菌叢の解析:まず、本大腸炎モデルでの腸内細菌叢の解析によりFirmicutes門が減少してBacteroidetes門が増加し、dysbiosisが起きていることが明らかとなった。これらの結果は、潰瘍性大腸炎患者の腸内細菌叢解析でも同様な報告があることから、今後、本急性大腸炎モデルおよびCACモデルで、大建中湯のdysbiosisに対する作用が大建中湯の急性大腸炎やCACに対する治療効果にどのように影響を与えているか、検討を進める。
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