2016 Fiscal Year Research-status Report
筋肉障害発症・進展におけるGFXの役割とその治療に向けた基盤構築
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16K15410
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五藤 大貴 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50770913)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋再生 / 骨格筋分化 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋では加齢、廃用、脱神経など様々な要因で障害が起こるとされている。障害後の骨格筋細胞のアポトーシスや筋衛星細胞の再生不全は、サルコペニアの発症・進展の要因の一つであると知られている。申請者グループは、血管障害による血管平滑筋細胞アポトーシスと増殖に関連するGFX(growth factor-x)を発見した。このGFXが障害後の組織修復(再生)に大きく関与していることも考察した。そこで、申請者は、GFX障害後の骨格筋再生およびリモデリング及び再生への関与を提唱した。研究代表者は、野生型マウス(9週齢,雄,C57BL/6J)の片側下肢骨格筋に心臓毒(Cardiotoxin(CTX), 1.3mmol/kg・d)を投与する方法で、骨格筋障害(アポトーシス)モデルを作成した。その後、トレッドミル運動能力テストで垂直方向への仕事量を測定し、小動物握力測定装置にて四肢握力測定を行った。結果、障害後3と7日目において仕事量と四肢握力低下が認められた。次にCTX投与後、経時的に骨格筋組織を採集し、定量PCRを用いてGFXの発現変化を検討した。結果、生食投与群と比較し、CTX投与群において一日目で13倍、三日目で30倍とGFX発現を認めた。GFX中和抗体投与にて、障害骨格筋間質の線維化の面積の増加と骨格筋幹細胞(CD34/integrinα7)数の著しい低下が認められた。この結果から、骨格筋のリモデリングと再生においてGFXが大きく関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、実験計画書の通りに研究を進め、初年度の計画通り成果を収めた。 1)野生型マウス(9週齢,雄,C57BL/6J)の片側下肢骨格筋に心臓毒(Cardiotoxin(CTX), 1.3mmol/kg・d)を投与する方法で、骨格筋障害(アポトーシス)モデルを作成した。CTX投与に関しては40μM/100μl群と20μM/200μl群の2群を作成し、HE染色を用いてそれぞれの筋障害度を比較した。結果、20μM/200μl群にて筋障害が安定して生じることが判明し、その後の実験ではCTX濃度・投与量としては20μMを用いた。2)生化学検討と組織学検討によりCTXの骨格筋内投与は骨格筋障害とリモデリング発症することが明らかになった。3)トレッドミル運動能力テストにおいて走行速度、走行時間、傾斜角度より垂直方向への仕事量を測定し、小動物握力測定装置にて四肢握力測定を行った。結果、CTXの骨格筋内投与による骨格筋機能障害が明らかになった。4)生食投与群と比較し、障害骨格筋における一日目で13倍、三日目で30倍とGFX発現を認めた。5)GFX中和抗体投与による障害骨格筋間質の線維化の面積の増加と骨格筋幹細胞(CD34/integrinα7)数の著しい低下が認められた。6)生食投与群に比較して、GFX中和抗体投与ではCTX投与3日目に定量PCRおいて、骨格筋分化・増殖の指標であるPax7,MyoD,cyclinB1が低値であることが判明した。また、Western Blotting法ではGFX中和抗体投与群においてAKT,GSKのリン酸化の誘導抑制が確認された。 特許申請を検討中で、現段階では、結果を公表することを控える。申請が終わったら、研究成果を即時に開示することを決めている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規増殖因子(GFX)の組み換え蛋白質を用い、骨格筋再生修復に対する効果とその機序を解明する。 組み換え蛋白質(rhGFX-200μg/kg: 5回)をCTX投与日から隔日に皮下投与し、骨格筋細胞再生修復への効果を、下記にて評価する(n=6×2群)。 1)組織化学的解析および形態学的解析2)H・E染色、Masson-Trichrome染色;障害骨格筋間質の線維化の面積の定量評価、蛍光染色(デスミンとラミニン);CD68・CD45の炎症細胞の浸潤を定量評価、 PCNA染色;骨格筋における増殖細胞の定量評価、TUNEL染色とPax7の二重蛍光染色法を用いて骨格筋衛星細胞アポトーシスの定量評価、Integrin-α7/CD34による骨格筋幹細胞のホーミングや再生の定量評価を行う。3)PCR法:骨格筋の蛋白分解に関わるカテプシンファミリー(K、S、B、L)、MMP2、MMP9、TIMP1、TIMP2、骨格筋分化・増殖に関わるPax7、MyoD、cyclinB1を測定する。4)Western Blotting法:Akt、ERK-1/2、mTOR、Fox0-1、Fox-3のリン酸化、IRS1、Bcl-XL、caspase-8、caspase-9の発現を測定する。5)FACSで骨髄と血中の骨格筋幹細胞解析を行う。
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