2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K15417
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
家口 勝昭 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90586348)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 交感神経 / 自律神経 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
病は気からと言われるようにストレス受容器である交感神経と疾患は密接な機能的関連を有している。例えば、交感神経の有無が前立腺がんの進行・再発に関与すること、また、交感神経の活性化ががんの増殖や転移を促進することが報告されている。しかし、いずれも分子機構は不明であり現象論の域を出ない。本研究は日本人の死因の第一位であるがんと交感神経活動に着目し、がんと交感神経活動の機能的関連を明らかにしがん患者の予後改善を目指す。 腫瘍組織内に貫入した交感神経の機能を解明するために交感神経を選択的に除去する神経毒である6-OHDAを投与しその効果を検討した。6-OHDAの投与により腫瘍組織内に貫入したチロシンヒドロキシラーゼ陽性の神経の消失が確認された。また、新生腫瘍血管CD31およびMECAで標識される血管内皮細胞の減少がみとめられたことから血管新生が減少したことが示唆された。さらに、6-OHDA投与群が得られた腫瘍血管ではSMAとCD31の共局在が多く観察されたことから、腫瘍血管のペリサイトのカバー率が上昇し未熟な腫瘍血管の正常化が亢進していることが示唆された。また、予備実験において6-OHDAの投与で転移が顕著に抑制されたことから交感神経阻害薬であるβブロッカーが転移を抑制することが示唆された。よって、βブロッカーを担がんマウスに投与し転移に対する効果を検討したところ肺転移頻度の抑制がみとめられた。現在、その詳細な抑制機構について解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原発巣における交感神経の機能解析およびβブロッカーの転移に対する効果の検討が順調で当初予定した研究計画に沿って進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
3種類のβアドレナリン受容体のうち、どのβアドレナリン受容体依存性に転移を促進しているのか選択的アンタゴニストを用いて解明する予定である。アンタゴニストで依存性が明らかとならない場合はノックアウトマウスを用いて解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験試薬を購入しようとしたが残金が不足しており次年度購入する予定としたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度予算分から昨年度末に購入予定の試薬を購入し、研究計画に沿って支出していく。
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Research Products
(1 results)