2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体デバイスを用いたヒト多能性幹細胞由来胆管疾患解析系の構築
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16K15434
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
紙谷 聡英 東海大学, 医学部, 准教授 (30321904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再生医療 / 肝分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管は胆汁酸分泌を担う肝臓内の重要な非実質細胞であり、その遺伝子異常や機能破綻は多発性肝嚢胞や胆汁酸性肝障害、胆管癌といった種々の病変を引き起こす。しかし、胆管の発生や機能に関する解析系はマウス等が主で、ヒト肝組織を用いた研究は困難であった。申請者らは、ヒトiPS細胞から肝前駆細胞を介して胆管様組織を誘導する系を既に構築している。また、ゲノム編集酵素を用いて、ヒトiPS細胞のゲノム上に任意の変異・遺伝子欠損の誘導を可能としている。肝臓等の3次元組織の血液流路の再構成のためにマイクロデバイスを用いた共培養系が構築されている。そこで本研究では、ヒトiPS細胞由来肝細胞および胆管細胞をマイクロ流体デバイス内で培養することで、胆管系を保持したヒト肝組織の構築と病態解明を目的とする。 本年は、肝前駆細胞から胆管細胞への効率的な分化を誘導する因子の探索を目指して、マウス胎仔肝前駆細胞を用いた胆管分化誘導因子のスクリーニング系の構築を行った。現在、胆管の機能等に重要なことが知られる転写因子Grhl2について解析を進めている。マウス胎生中期肝前駆細胞を分離し平面培養期間中にレトロウイルスを用いてGrhl2の遺伝子導入を行った。その結果、Grhl2を強制発現した肝前駆細胞で胆管細胞マーカーであるCK19の高発現が誘導され、さらにゲル包埋培養により胆管様構造への高頻度な誘導が見られた。そこで、現在ヒトiPS細胞を用いたヒト胆管組織誘導系への強制発現などを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝前駆細胞を一度in vitroに取り出し平面培養した後に細胞外マトリクスに包埋し3次元培養することで、胆管様構造へと分化が可能なことを見出し、国際誌への発表をすでに行っている(Anzai et al., Sci Rep 2016)。またこの系を応用することで、胆管分化を誘導する因子の探索系などを構築しており、研究はおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
肝前駆細胞の胆管分化を推進する遺伝子群の探索が今回開発した系を用いて可能であることが示唆された。今後、この新規培養系に様々な候補転写因子を強制発現させ解析することで、新規の胆管分化誘導因子の探索を進める予定である。 また、マイクロ流体デバイスを用いたin vitroにおける3次元肝組織の誘導系の構築系の中でGrhl2等の胆管分化誘導因子を用いることで、肝組織中に胆管系を効率的に誘導できるか今後解析する。
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Causes of Carryover |
実験の一部(ヒトiPS細胞を用いた解析)などが、一部平成28年度に行うことができず、翌年での使用を考えているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度では、前年の研究成果をヒトiPS細胞等に応用することを考えておりその培養等に使用する。
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Research Products
(1 results)