2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K15436
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
大畑 広和 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (40570057)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / シングルセル遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん幹細胞は造腫瘍性や治療抵抗性の根源であると考えられており、幹細胞性の維持に必須な新規分子を同定する事は極めて重要である。カリウムチャネルは神経細胞や心筋細胞等において活動電位を調節する普遍的なイオンチャネルであるが、がん幹細胞における発現、及び機能的な役割に関しては全くわかっていない。そこで本研究は、大腸がん幹細胞に特異的に発現するカリウムチャネルを同定し、幹細胞性制御における機能的な役割を明らかにする事を目的としたものである。本研究により同定したがん幹細胞制御性カリウムチャネルは革新的な新規がん治療薬の標的となると考えられるため、臨床応用への発展も期待できる。 当該年度は、大腸がん幹細胞特異的に発現するカリウムチャネルを同定するため、以下の項目を実施した。 (1)大腸がん幹細胞で発現していないカリウムチャネルを除外するため、DNAマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析により、大腸がん幹細胞におけるカリウムチャネルの発現の有無を確認した。 (2)大腸がん幹細胞において発現している事が確認されたカリウムチャネルと大腸がん幹細胞、及び分化細胞に特徴的な遺伝子に関して、シングルセル遺伝子発現解析用のプライマーを設計し、バリデーションを行った。 (3)現在は、大腸がん幹細胞由来マウス皮下腫瘍よりフローサイトメトリーを用いて単一腫瘍細胞を単離し、がん幹細胞、及び分化細胞に特徴的な遺伝子とカリウムチャネル遺伝子の定量PCRを行う事によりシングルセル遺伝子発現解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シングルセル遺伝子発現解析用のプライマーの設計と半定量PCRによるバリデーションに時間を要したが、概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)同定したカリウムチャネルが大腸がん幹細胞に特異的に発現している事を検証するため、大腸がん幹細胞由来マウス皮下腫瘍よりフローサイトメトリーを用いて大腸がん幹細胞と分化がん細胞を分取する。リアルタイムPCR法、及び入手可能な抗体がある場合にはウエスタンブロット法により、がん幹細胞で特異的に発現している事を確認する。また、マウス皮下腫瘍、及びヒト原発大腸がん組織において免疫組織化学染色法により、同定したカリウムチャネルががん幹細胞特異的に発現している事を検証する。 (2)同定したがん幹細胞特異的カリウムチャネルが幹細胞性の維持に機能的に必須であるかを検証する。RNAi法やCrispr/Cas9による発現抑制、及び入手可能な特異的阻害剤による活性阻害により、大腸がん幹細胞の増殖、スフェロイド形成、及び幹細胞性関連タンパク質の発現等の幹細胞特性に対する効果を検討する。また、がん幹細胞を標的とした治療薬の開発を見据えて、同定したカリウムチャネルが腫瘍形成に重要であるかを検証する。
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