2018 Fiscal Year Research-status Report
心筋細胞周期を調整するlincRNAの機能解析と心疾患治療への応用
Project/Area Number |
16K15447
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片岡 雅晴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20445208)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / lincRNA / 心筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、いまだ未解明である成熟期心筋細胞での細胞周期調整のメカニズムに、long intergenic non-coding RNA (lincRNA)がどのように機能しているかを解明し、さらに心臓病態時の治療への発展性を模索することを目標とした。成体マウス心臓に心筋梗塞を作成して心筋からRNAを抽出し、lincRNAアレイを用いた網羅的なlincRNAスクリーニングを施行した。その結果、心臓に特異的に発現量が多く、心筋梗塞時に梗塞域近辺で大きく発現量の変動するlincRNAを1つに絞り込み、”linc-Heart”と名付けた。linc-Heartは、心臓特異的に高発現し、心筋梗塞では急性期の梗塞域近辺で発現量が低下した。また、胎生期心臓では発現量が低下しており、成長に伴い発現量が増加した。AAVベクターを用いてlinc-Heartを心臓に導入し大動脈縮窄手術(TAC)および心筋梗塞(MI)手術を施行したところ、コントロール群(AAV-Luciferase導入心臓)と比較し、linc-Heart導入心臓ではTACおよびMI術後の心拡大が著明に抑制され、その効果はlinc-Heartによる心筋細胞サイズの正常維持によることが判明した。linc-Heartによる心筋細胞の細胞増殖効果に注目したところ、細胞増殖マーカーph3陽性心筋細胞は、コントロール群では皆無だが、linc-Heart導入心臓の術後急性期にはph3陽性細胞が高率に確認された。Aurora-B, Ki67等の細胞周期マーカーでも確認し、linc-Heart過剰発現によって、術後の成体期心筋細胞の細胞周期を再開させ、細胞増殖を誘導できることを実証した。linc-Heartによる細胞増殖誘導を制御するシグナル経路を、RNA-Seq等にて精査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
linc-Heartによる細胞増殖誘導を制御するシグナル経路の探索研究が、サンプル準備や解析の繰り返しに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、Meis1等の心筋細胞周期に関わるとされる因子の網羅的解析等によるlinc-Heartの心筋細胞周期調整のメカニズムを、次世代シークエンサー等を用いた最先端技術によって、さらに詳細に探索していく予定である。また、将来的に発展させる研究内容として、ヒトにおけるlinc-Heartと同等の機能を持つlincRNAの追及を行い、将来的なヒト心疾患に対する治療への応用可能性を探る。
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Causes of Carryover |
(理由)研究成果が順調に上がっているが、メカニズム解析のための次世代シークエンサーを用いたRNA-Seq等の費用が一部当初計画より日程変更したために、次年度使用額が生じた。 (使用計画)linc-Heartがもたらす心筋細胞周期調整メカニズムの全容解明のため、次世代シークエンサーを用いたオミクス解析等を予定しており、今後使用していく予定である。
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