2018 Fiscal Year Research-status Report
Explorative studies on physiological mechanism of molecular hydrogen
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16K15450
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
下内 章人 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (80211291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝晴 中部大学, 生命健康科学部, 特任教授 (20135388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水素分子 / 活性酸素 / 心不全 / 水素抱合物質 / 抗酸化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,①嫌気性腸内発酵による内因性水素分子の運搬・貯蔵・放出に関する基礎的検討ならびに②生体内における活性酸素生成と抗酸化(食事性代謝性抗酸化物質+抗酸化システム)に腸内嫌気性発酵性水素分子を組み込んだ新規概念を提案した上で,この仮説を酸化ストレス性疾患モデルとヒトの生活習慣や循環器疾患を対象に独自開発の非侵襲的OH計測法を用いて検証することが目的であった.平成30年度は分子状水素の溶解度から推定される以上の水素分子が血液内に抱合されていることの文献的調査と組織別に水素抱合能の差異の実験計画を進めたが,期間中にはその成果は達成できなかった.他方で前職の国立循環器病研究センター心不全科における心不全患者を対象として,分子状水素が心不全重症度とどのような関連が認められるかを検討した臨床症例をretrospectiveに調査したところ,心不全重症度が高まるにつれ,睡眠前,起床直後の呼気水素濃度較差が統計的に有意に増加することが認められた.さらに呼気水素の低下レベルと併せて心筋内ミトコンドリアの形態学的障害度が強くなることを認めた.このことから心不全病態下では生体内における抗酸化能の低下を水素分子が補助的に作用していることが推察できたものの,現有データをもとにした解析では直接的な因果関係は不明であった.また,生体内分子状水素の産生を活性化することにより心不全治療の可能性も出てきた.さらに水素分子の溶解度に依存しない水素分子抱合の血球・血漿内の水素分子抱合因子は依然として未確定である.これらの残された課題をさらに追及するため,研究期間の延長を申請した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水素関連の成果はあったものの当初研究目的の血液内水素抱合物質の特定はできていない.血液中に含まれるアルブミン,ヘモグロビンではないことが確認できたが,さらに血液成分を網羅的検討する必要がある.タンパク以外の化合物も視野に入れ,検討を必要になっている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の第一段階の到達目標である血液内における分子状水素抱合物質の探索をさらに深め,その物理化学的特性を生かした臨床応用へ発展させたい.
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Causes of Carryover |
本研究課題の目的のひとつは水素分子の溶解度に依存しない水素分子抱合能のある血球または血漿内未知化合物の探索を行うことであったが,水素分子抱合因子は依然として未確定であった.すでに明らかにした水素分子抱合因子の候補物質としてヘモグロビンやアルブミンは除外できたが,それ以外の血液因子(例えばグロブリン,脂質,有機化合物などの高分子化合物)を対象とした血液試料や肝臓,心肺組織なども視野に入れた探索を行う必要がある.この解明をさらに進めるためには時間を要するため,研究期間の延長を申請した.予算範囲内で必要な標準ガスならびに試薬などの消耗品を購入し,その成果を発表旅費(国内)・学会参加費(その他)に充当させる.高額な設備品の購入はしない.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Decrease in exhaled hydrogen as marker of congestive heart failure2018
Author(s)
Shibata A, Sugano Y, Shimouchi A, Yokokawa T, Jinno N, Kanzaki H, Ohta-Ogo K, Ikeda Y, Okada H, Aiba T, Kusano K, Shirai M, Ishibashi-Ueda H, Yasuda S, Ogawa H, Anzai T
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Journal Title
Open Heart
Volume: 5(2)
Pages: e000814
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Change of Exhaled Acetone Concentration Levels in Patients with Acute Decompensated Heart Failure2018
Author(s)
Yokokawa T, Sato T, Suzuki S, Oikawa M, Yoshihisa A, Kobayashi A, Yamaki T, Kunii H, Nakazato K, Suzuki H, Saitoh S, Ishida T, Shimouchi A, Takeishi Y
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Journal Title
Int Heart J
Volume: 59(4)
Pages: 808-812
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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