2016 Fiscal Year Research-status Report
神経ガイダンス分子ー受容体を標的とした新たな小細胞肺癌制御機構
Project/Area Number |
16K15459
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 隆明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70168392)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / ガイダンス分子 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経ガイダンス分子draxin、 nterinおよび、その受容体neogenin, DCCによるシステムは、神経の回路網形成に重要な働きがありますが、一方で、netrin-DCC経路は、癌細胞の生存維持機構としても重要な働きをしていることが消化器癌を中心に知られています。しかしながら、肺癌、特に、高悪性度・難治性の悪性腫瘍である小細胞肺癌では、これらの発現の有無、これらガイダンス分子-受容体系の役割など殆ど研究されていません。私達は、これらガイダンス分子ー受容体システムを新たな標的としたヒト小細胞肺癌の制御機構の開発を試みています。予備的な実験では、draxin、 nterinおよび、その受容体のneogenin, DCCは、ヒトの肺癌培養株及び、ヒト肺癌組織で、発現を認めました。 本研究の目的は、肺癌、特に小細胞肺癌を中心に、1)draxin-shRNAおよびnetrin-shRNAによるノックダウン実験を試み、この神経ガイダンス分子-受容体機構の破綻の生物学的な意義を明らかにすること、2)draxin, netrinの受容体の細胞外domainのimmunoglobulin domain、fibronectin domainの作成し、これら低分子のガイダンス分子-受容体阻害分子を、ヒト肺癌培養株に処理し、これら低分子による肺癌細胞の生存の制御実験、ヒト肺癌培養株の高度免疫不全マウスへの移植実験への効果などを解析し、未だに分子標的治療の成果が出ていない、ヒト小細胞肺癌へのこの神経組織で見られる機構の基礎的な治療研究を目指します。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は、1)draxin-shRNAおよびnetrin-shRNAによるノックダウン実験を、ヒト肺腺癌(A549, H538)、小細胞肺癌(SBC1, H69)培養株に導入実験を試みていて、一部の細胞株について、ノックダウン細胞の作成を完成することが出来ました。今後、これら細胞を用いて、細胞増殖能、抗apoptosis能、運動能などの実験を行っていく予定です。 2)draxin, netrinの受容体の細胞外domainのimmunoglobulin domain、fibronectin domainの作成を試みている。これら、低分子のガイダンス分子-受容体の阻害因子の分離精製で、いくつかの手段を試みています。
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Strategy for Future Research Activity |
1)draxin-shRNAおよびnetrin-shRNAによるノックダウン実験を、ノックダウン細胞の作成を完成したものから、順次、細胞増殖能、抗apoptosis能、運動能、高度免疫不全マウスへの生着能、肺転移能などの実験を行っていく予定です。 2)draxin, netrinの受容体の細胞外domainのimmunoglobulin domain、fibronectin domainからなるガイダンス分子-受容体の阻害因子の分離精製が完成次第、腫瘍細胞への増殖、生存、運動、転移能などへの影響を、in vitroおよびex vivo実験で明らかにする予定です。
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