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2016 Fiscal Year Research-status Report

高速シークエンサーを用いた高感度多遺伝子検索システムによる液性検体からの変異検索

Research Project

Project/Area Number 16K15461
Research InstitutionJichi Medical University

Principal Investigator

萩原 弘一  自治医科大学, 医学部, 教授 (00240705)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords多遺伝子変異検査 / 次世代シークエンサー
Outline of Annual Research Achievements

15年前まで,進展した非小細胞肺がんの治療は殺細胞性抗がん剤しか存在しなかった.上皮成長因子受容体 (Epidermal growth factor receptor: EGFR)阻害薬が利用可能になり,さらにEGFR遺伝子変異が発見され,非小細胞肺がんの治療は大きく変わった.その後,多数の分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬が導入され,毎年のように標準的治療法が変更されている.現在,肺がんは悪性腫瘍治療のフロンティアとなっており,肺がん自体の治療だけではなく,他のがん種にも応用可能な様々な知見が得られると期待されている.
次世代シークエンサーが基礎医学で広く使われるようになり,多遺伝子変異検査への期待が高まっている.多遺伝子変異検査には特有の問題があり,それを考える必要がある.
単一遺伝子を0.99の感度(偽陽性率0.01)で検索する遺伝子変異検査は優秀な検査だが,その感度で100個の遺伝子を検索した場合を考えてみる.全く変異の無い組織を検索しても,各遺伝子0.01の割合で積み重なる偽陽性のため,65%の患者で偽陽性が生じ,遺伝子変異があると判定される.すなわち65%の患者に誤った分子標的薬が投与される危険性がある.この問題はLusserの法則として知られるもので,月面着陸を目指したアポロ計画の時に重要視された.ロケットでは各部品が99%の確率で正確に働いても1つの部品が故障すると正確に飛ばない.全ての部品が働くためには,各部品が正確に働く確率として99.9999%が求められた.多遺伝子変異検査でも同様のことが言える.単一遺伝子の検出感度を非常に高くし,全体として正確な結果を出す必要がある.
多遺伝子変異検査の要件を満たし,さらにliquid biopsyサンプルに適応することを目的として本研究を立案した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

様々な多遺伝子変異検査が考案されているが,いずれも検索遺伝子が多すぎる問題がある.数十~数百の遺伝子を検索しても,driver遺伝子以外の遺伝子では臨床的意義が確立されていないため無駄な情報として捨て去るしかない.
海外では,病理医が遺伝子変異検査を提出する国が多い.生検→パラフィン包埋→切片提出という流れである.海外から輸入された遺伝子検査システムは組織検体を用いるものが多い.日本では気管支鏡検査が盛んで,気管支鏡,超音波プローブを用いて小組織,細胞診検体を採取し,それでがん診断を行うことが多い.日本の遺伝子検査システムは細胞診検体も検査可能なものが多い理由の一つは,使用手技の違いもあると推定される.
現在,肺がんでは,変異EGFR遺伝子,ALK融合遺伝子,PD-1発現の検索が必須である.全てを組織検体で検索すると,採取組織をほぼ使い切ってしまうため,これ以上遺伝子が増えたら検索は不可能になると危惧されている.細胞診検体は有用な検体であり,EGFR遺伝子は細胞診検体で十分に検索できる.次世代シークエンサーによる多遺伝子変異検査も可能である.臨床の実態に合わせて様々な検体が使用可能になるよう,基盤整備を行うことが望ましい.
上記を解決するために,MINtSを作成した.検索遺伝子数をdriver遺伝子に限ると次世代シークエンサーの余力ができ,多数の検体が同時検索できる.それを利用して200検体が同時検索できるようにした.各単一遺伝子の感度,特異度を0.999以上にあげ,全体として感度,特異度0.99以上を実現した.このようなシステムが,臨床検査として望ましいと考えている.

Strategy for Future Research Activity

MINtSを使用して,liquid biopsyサンプルの検索を始めている.すでに80サンプルほどの解析を終了した.この解析を継続し,MINtSを使用して,liquid biopsyを用いた臨床的有用性の検討を進めていきたいと考えている.

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] A highly specific and sensitive massive parallel sequencer-based test for somatic mutations in non-small cell lung cancer2017

    • Author(s)
      Inoue Yoshiaki、Shiihara Jun、Miyazawa Hitoshi、Ohta Hiromitsu、Higo Megumi、Nagai Yoshiaki、Kobayashi Kunihiko、Saijo Yasuo、Tsuchida Masanori、Nakayama Mitsuo、Hagiwara Koichi
    • Journal Title

      PLOS ONE

      Volume: 12 Pages: 1-14

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0176525

  • [Journal Article] コンパニオン診断薬の現状と問題点2016

    • Author(s)
      萩原弘一
    • Journal Title

      呼吸器内科

      Volume: 29 Pages: 191-194

  • [Presentation] 高速シークエンサーによる包括的遺伝子変異検索(MINtS)を用いた肺癌手術症例の解析2016

    • Author(s)
      3.井上慶明、杉山亜斗、青木耕平、福田佑樹、儀賀理暁、泉陽太、小林国彦、中山光男、萩原弘一
    • Organizer
      第75回日本癌学会総会
    • Place of Presentation
      横浜(パシフィコ横浜)
    • Year and Date
      2016-10-06 – 2016-10-08
  • [Presentation] 高速シークエンサーを用いた遺伝子変異検索システム実用化における問題点とその対策2016

    • Author(s)
      10.井上慶明、杉山亜斗、青木耕平、儀賀理暁、泉陽太郎、小林国彦、萩原弘一、中山光男
    • Organizer
      第33回日本呼吸器外科学会総会
    • Place of Presentation
      京都(京都国際会館)
    • Year and Date
      2016-05-12 – 2016-05-13

URL: 

Published: 2018-01-16  

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