2017 Fiscal Year Annual Research Report
Insulin paradox and novel drug target in Alzheimer's disease.
Project/Area Number |
16K15478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩坪 威 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50223409)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳インスリン抵抗性 / アミロイドβ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インスリンシグナルの変化がアルツハイマー病(AD)発症に深く関与するアミロイドβ(Aβ)の蓄積に及ぼす影響の解明を目的としている。平成28年度にはインスリン/IGF1シグナル(IIS)抑制モデル脳においてAβの脳内クリアランスならびに産生に関与する分子の発現レベルは変化しないことを明らかにした。平成29年度には、IRS-2 KOマウスの初代培養神経細胞を用い、de novoのAβ分泌を測定した。この結果においても、野生型に比して顕著なAβ産生レベルの変化は認められなかったことから、IIS抑制によるアミロイド病態への低減効果は、Aβの凝集・蓄積の変化によるものである可能性を示唆する結果を得た。 続いて、IISの下流でAβの凝集過程に抑制的に働くシグナルを検討した。多くの生物種において、インスリンシグナルは老化に関与し、その抑制は寿命延長やストレス耐性等の抗老化作用をもたらす。そこで、抗老化作用に関連が示されている複数のシグナル経路について、アミロイド蓄積に変化が認められる9ヶ月齢のIRS-2 KOマウス脳における発現変動を解析した。Akt, FOXO, S6K1, 4E-BP1, HSF-1とその下流シャペロン分子、Nrf2と下流の抗酸化関連タンパク質 GSK3β、オートファジー関連等の分子について、ウェスタンブロットによりタンパク質レベルならびにリン酸化レベルを検討した。その結果、4E-BP1レベルがIRS-2 KOにおいて有意に上昇していた。また、S6K1とULK1について、リン酸化レベルが変化する傾向を確認した。
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