2016 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞再生治療開発に向けた膵内迷走神経節の解剖学的・生化学的解明
Project/Area Number |
16K15486
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 秀樹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00344664)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵ランゲルハンス島 / 迷走神経 / 膵β細胞 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は膵ランゲルハンス島への迷走神経シグナルを含む臓器間神経ネットワークがインスリン分泌や膵β細胞量の調節に重要な役割を果たしていることを発見した。膵への迷走神経は膵内の迷走神経節へ投射し、迷走神経節から2次ニューロンにシグナルと乗り換えて、そのシグナルが標的部位に届けられる。そこで、膵内迷走神経節の解剖学的・生化学的解析、特に膵ランゲルハンス島との関連について検討することを提案した。 本年度は、まず解剖学的解析として、CUBIC法による透明化技術を駆使して、膵迷走神経節の三次元的な位置情報の解析を行った。その結果、膵内迷走神経節の多くは膵島に近接して存在していることが明らかとなった。さらに、膵内迷走神経節が近接する膵ランゲルハンス島は、そうでないものに比べ有意に大きかった。 これらのことは、膵ランゲルハンス島への迷走神経シグナルが発生・成長・定常状態においても、膵ランゲルハンス島の大きさや機能の維持に重要な役割を果たしていることを示唆するものである。 本研究成果は、これまでの2次元での切片の解析では解析が難しかった膵ランゲルハンス島と膵内迷走神経節との3次元的な位置関係やその定量的な解析について、最近開発されたCUBIC法による透明化技術を用いることで明らかにできたものである。来年度は膵内迷走神経節における発現分子の解析などをもとに、生化学的側面から膵β細胞の量や機能の維持機構に迫ることを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、最近開発されたCUBIC法による透明化技術を用い、これまでの2次元での切片の解析では解析が難しかった膵ランゲルハンス島と膵内迷走神経節との3次元的な位置関係やその定量的な解析を進めたものであり、当初の計画に準拠したものである。 得られた結果として、予想以上に高頻度に、迷走神経節が膵ランゲルハンス島と近接することが明らかとなり、迷走神経シグナルの膵ランゲルハンス島の機能・大きさの維持における重要な役割が示唆された。この成果は、当初の計画以上のものであり、このような萌芽研究を基にしてさらなる研究を進めることで、生物学的にも、膵β細胞の再生治療の開発に向けても、大きく発展する可能性を示すことができたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、次年度は、膵内迷走神経節をLMDを用いて回収し、その発現遺伝子などの生化学的な解析を通じ、膵内迷走神経節が膵ランゲルハンス島、特に、膵β細胞の機能・量の調節器における分子基盤の解明につなげる。さらに、病態における変化についても検討を進めることを計画している。
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Research Products
(28 results)
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[Journal Article] MicroRNAs 106b and 222 Improve Hyperglycemia in a Mouse Model of Insulin-Deficie nt Diabetes via Pancreatic β-Cell Proliferation.2017
Author(s)
Tsukita S, Yamada T, Takahashi K, Munakata Y, Hosaka S, Takahashi H, Gao J, Shir ai Y, Kodama S, Asai Y, Sugisawa T, Chiba Y, Kaneko K, Uno K, Sawada S, Imai J, Katagiri H.
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Journal Title
EBioMedicine
Volume: 15
Pages: 163-172
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Activation of Hypoxia Inducible Factor 1α Subunit Pathway in Steatotic Liver Contributes to Formation of Cholestrol Gallstones.2017
Author(s)
Asai Y, Yamada T, Tsukita S, Takahashi K, Maekawa M, Honma M, Ikeda M, Murakami K, Munakata Y, Shirai Y, Kodama S, Sugisawa T, Chiba Y, Kondo Y, Kaneko K, Uno K, Sawada S, Imai J, Nakamura Y, Yamaguchi H, Tanaka K, Sasano H, Mano N, Ueno Y, Shimosegawa T, Katagiri H.
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Journal Title
Gastroenterology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] ES Stress Protein CHOP Mediates Insulin Resistanse by Modulating Adipose Tissue Macrophage Polarity.2017
Author(s)
Suzuki T, Gao J, Ishigaki Y, Kondo K, Sawada S, Izumi T, Uno K, Kaneko K, Tsukita S, Takahashi K, Asao A, Ishii N, Imai J, Yamada T, Oyadomarai S, Katagiri H.
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Journal Title
Cell Rep
Volume: 18
Pages: 2045-2057
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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