2016 Fiscal Year Research-status Report
造血器腫瘍におけるエピジェネティック治療と腫瘍免疫のクロストーク
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16K15499
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合山 進 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80431849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 腫瘍免疫 / 急性骨髄性白血病 / MLL転座型白血病 / 免疫不全マウス / DNAメチル化阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しいがんの治療法として「エピジェネティック治療」と「腫瘍免疫療法」が期待されている。エピジェネティック治療としては、DNAメチル化阻害剤やヒストン脱アセチル化阻害剤が一部の造血器腫瘍に有効であることが判明した。また腫瘍免疫療法としては、抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤や、キメラ抗原受容体を用いた遺伝子改変T細胞療法などの効果が臨床的に証明された。しかしながら、これらの治療法が効果を発揮するメカニズムについては不明な点が多く、その解明は今後の大きな課題である。 DNAメチル化阻害剤の作用機序は長い間不明であったが、最近、DNAメチル化阻害剤が癌細胞におけるdsRNAの発現を上げ細胞をウイルス感染様の状態にして免疫系を活性化する、という新しい説が発表され注目を集めている [Cell 162(5): 961-973及び974-986 (2015)]。また、DNAメチル化阻害剤の効果は、(1)投与後効果発現までに時間がかかる、(2)化学療法が効かない患者に対しても効果を示す、などの点でも免疫療法と共通点があり、エピジェネティクス治療と腫瘍免疫の間に深い関連がある可能性は極めて高い。 今回我々は、白血病遺伝子MLL-AF9を導入したマウス骨髄細胞をレシピエントマウスに移植して急性骨髄性白血病の発症を誘導するモデルを用いて、DNAメチル化阻害剤デシタビンが白血病発症を抑制することを見出した。さらに、デシタビンの抗白血病作用にはレシピエントマウスの免疫能が重要であることを突き止めた。今後は、その分子メカニズムについて解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、マウスMLL-AF9白血病の発症をDNAメチル化阻害剤デシタビンで抑制する治療モデルの確立に成功し、さらにその治療効果が免疫不全マウスでは減弱することを突き止めた。分子メカニズム解明のための良い実験系ができており、計画は概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスMLL-AF9白血病をデシタビンで治療するモデルを用いてRNA-Seq等を行い、DNAメチル化阻害剤が腫瘍免疫を介して治療効果を発揮する分子メカニズムを明らかにする。また、他の造血器腫瘍モデルでも同様の機序で抗腫瘍効果を発揮するかどうかを確認する。
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Research Products
(3 results)