2016 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチではなぜDIP関節に滑膜炎が起こりにくいのか
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16K15513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺尾 知可史 京都大学, スーパーグローバルコース医学生命系ユニット, 特定助教 (60610459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチは骨破壊性関節滑膜炎をその特徴とするが、その滑膜炎は手指のPIP,MCP関節に起こるのが一般的でDIP関節に起こることはまれである。これは、関節滑膜の体積の差では説明不可能である。本研究では、この症状の分布の相違がなぜ生じるのかを明らかにする。 申請者は、これまで関節リウマチの滑膜炎の罹患頻度が関節ごとに大きく異なること、滑膜炎の分布パターンが大きく3つに分かれること、指関節に滑膜炎が生じるリスクにリウマチ因子の有無及びその力価が関連することを示してきた。これまでの経験を用いて、DIP特異的な因子がないかに着目して解析を行う。
関節リウマチの特徴的な関節炎の分布から、滑膜に発現するタンパクの分布が異なる可能性を考え、各関節部位の滑膜、特にDIP関節の滑膜の収集を試みたが、ヒトで検体を保持している施設はほとんど見られなかった。DIP滑膜炎を来す乾癬性関節炎の研究を行っている施設についても同様であった。国内で唯一、DIP検体を採取可能な施設があったが、一検体のみであり、ヒトにおける検体数の拡大は難しいものと思われた。そこで、外注によってカニクイザルについて、各関節部位から滑膜を採取した。カニクイザルは関節炎モデルにも用いられる。そのモデルではDIP滑膜はやはり影響を受けにくい。関節炎を惹起した上での採取も検討したが、修飾されていない状態の遺伝子およびタンパクの解析がより適切と考えられた。 それぞれの滑膜からRNAを抽出してsequenceを行い、発現の違いを解析する予定である。滑膜はタンパク抽出・解析用のものと、病理検体用のものに分けており、各証明段階で利用可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DIP滑膜を採取するのが一番の問題であったが、ヒトでの採取よりも動物における採取に力点を移すことによって解決できた。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの滑膜からRNAを抽出してsequenceを行い、発現の違いを解析する予定である。 また、遺伝子の発現をウェスタンブロットなどの手法によってタンパクレベルで確認することを想定している。
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