2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of infection diagnostic and control methods based on disease-related factors using LC-MS / MS and nanodevices
Project/Area Number |
16K15518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 聖司 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70757301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感染症 / 排出ポンプ / 細菌 / 抗生物質 / トランスポーター / 多剤耐性菌 / 薬剤耐性 / 抗菌薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、様々な薬剤に対して耐性を示す多剤耐性菌、食中毒等で深刻な症状を引き起こす病原性菌が次々と出現し、臨床現場において大きな問題となっている。依然、感染症によって多くの人が命を落としており、細菌感染症の克服は今なお医療分野における喫緊の課題である。多剤耐性化の原因として、抗菌薬を含む様々な化合物を菌体内から菌体外へ排出する細菌薬剤排出ポンプが特に注目されている。これまでの自らの研究により、排出ポンプの排出機構が世界で初めて解明され、自ら世界初となる抗菌薬排出阻害剤の開発を進める段階にまで来ている。
しかしながら、高病原性菌による食中毒等の場合、しばしばメディアで報道されるように、抗菌薬等による治療が間に合わず死亡するケースがみられる。ここに至って、菌体外に排出され様々な病気を引き起こす原因となっている、細菌の生理活性化合物を同定・解析し、早期に診断・治療する方法が必要となってきた。
本研究によって、当初から開発を目指していた細菌薬剤排出ポンプの生理基質同定技術として、新たに、様々な蛍光基質を用いた簡便・迅速な手法を複数確立することができた。当手法を活用した細菌薬剤排出ポンプに関する研究により、カチオン性の平面芳香族小分子の排出に特化している第3の薬剤排出ルートを解明することができた。また、自ら開発した細菌薬剤排出ポンプ阻害剤スクリーニング手法(特願2016-028653)を用いることで、細菌の病原性発現に関与する薬剤排出ポンプ阻害剤候補を実際に複数見出すことに成功した。詳細な解析の結果、感染症治療上有用であることが判明したため、現在特許申請の準備中である。
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